Best Practice Neuro Diveの成功ストーリー (就職者の声) うつ病の方のストーリー
今回は、データ分析スキルを活かしエネルギー業界で活躍する卒業生に、Neuro Diveの学習プログラムや成果物制作、就職などについて語っていただきました。ビジネスの意思決定を左右するデータ分析という仕事に、大きな意義を見出しているそうです。
データ分析スペシャリストとしてビジネスにおける影響力を獲得したい
T.Nさん(30代)
- Neuro Dive秋葉原・ 横浜
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就職先
エネルギー・素材企業 -
前職
農業関係、システム開発
農業関係従事者、プログラマーを経て、ITの世界へ
高校時代は進学校の寮生でしたが、反抗期を迎え勉強に身が入らない時期もありました。このままではいけないと、30日間まったく横にならず机に向かって勉強を続けたところ、統合失調症を発症し2カ月間入院してしまったのです。受験には合格していたので、治療を続けながら日本大学の生物資源科学部農芸化学科に進学し、栄養学やバイオサイエンスを研究しました。
農業への関心を深めた私は、卒業後、国内で1年間、アメリカで1年間、農業研修に参加しました。将来は、祖父の農地がある田舎で農業に従事するビジョンを思い描いていたのです。帰国後、祖父の郷里にあるJAに入組しましたが、時は自然派農業ブーム。アメリカで減農薬農業を体験していた私は、農薬だけでなく薬全般に対して抵抗感を抱くようになり、投薬治療を中断してしまいました。また、地方活性化に貢献したいという思いをもっていましたが、過疎化の現実を目の当たりにして漠然とした不安を抱くようになっていたのです。再び体調を崩し、退組して実家に戻りました。
転職に役立つスキルを身につけようと、職業訓練校で半年間Javaプログラムを学びました。その後、派遣エンジニアとしてJavaのシステム開発に携わりましたが、スタッフはみな長時間労働を強いられており、職場の雰囲気は良くありませんでした。私は睡眠時間が不足すると精神的に不安定になってしまう傾向があります。帰宅が23時を過ぎてしまうことが多い状態では、必要睡眠量の確保もままなりません。上司に障害を開示したところ暗に辞職を示唆され、「それならオープン就労で残業のない仕事に就きたい」と転職を目指すことにしたのです。 将来について家族と話し合った結果、自分の能力や業界の将来性、ニーズなどを踏まえ、IT業界に進路を絞りました。元々、PowerPointで資料を作成することが好きでしたし、パソコンとの親和性が高かったので、適性があるのではないかと考えたのです。dodaチャレンジを経由してNeuro Diveの存在を知った私は、まずは見学してみようとオープン目前の秋葉原事業所を訪れました。洗練された施設やはつらつとはたらくスタッフの雰囲気に惹かれ、通所を決めたのです。
1年間フリーランス生活を体験
前職では実情を知らないままシステム開発の現場に配属されたので、基礎からしっかり知識を身につけたいと考えていました。その点、Neuro Diveの講座は着実に理解を深められましたし、実務に即した学びができました。周りには学歴も学習意欲も高い利用者が多く、切磋琢磨しながらスキルを磨ける点も魅力です。先輩の中にはコミュニケーションが苦手な人もいましたが、自身の特性を活かしながら就職していく姿を見て、励みにもなりました。
スキル実践のため動画編集を始めたところ収入になったのですが、Neuro Diveは求職者を対象とした事業所なので、はたらきながら利用できません。自分の裁量で仕事ができるフリーランスに魅力を感じていたこともあり、「退所して、1年間フリーランスに挑戦してみます。うまくいかなければ戻ってくるかもしれません」と宣言して、動画編集者になりました。
しかし、価格競争の激しい業界で休みなくはたらくうちに心身が疲弊し、もう一度、正社員雇用を目指してNeuro Dive横浜に通所することを決めました。回り道をしましたが、フリーランスになれば時間を自由に使えるという幻想を払拭し、自分に合ったはたらき方を考える有用な期間でした。 改めてNeuro Dive横浜に入所し、就職活動にも着手します。フリーランス生活に疲弊していた私は、とにかく安定した職に就きたいとさまざまな企業に応募しましたが、内定を獲得することはできませんでした。ちょうどその頃、Neuro Diveで「Will Can Must」のフレームワークを学ぶ講座に参加し、自分には目的意識や自己分析が欠けていることに気づいたのです。キャリア設計を改めて見直した結果、自分の能力を活かせるのはデータ分析だという結論に至りました。Neuro Dive卒業生の就職先を見てもデータ分析がかなりの割合を占めており、需要の高さも確信していたのです。
ビジネス視点を意識しながら成果物をブラッシュアップ
『統計学が最強の学問である』という書籍がベストセラーになりましたが、ビジネスに広範的な影響力をもつ統計学に的を絞り、その中でもテーブルデータにコミットする決意を固めました。統計学の書籍を読み漁り、「マナビDX」などのコンペにも参加。売上を予測し、実測値との誤差を最小化するコンペだったので、何十回もトライアルアンドエラーを繰り返しました。提出日前日の順位は40位前後でしたが、提出日の朝4時から検証を重ね、522人中7位まで順位を上げられたのです。最後まで諦めないことの大切さを実感しましたし、後の就職活動でコンペの結果が評価されたので貴重な成功体験となりました。また、良いスコアが出た時にはゲーム性に似たおもしろさを感じ、ますますデータ分析にのめり込んでいったのです。
Neuro Diveの成果物テーマには、ロイヤルカスタマー戦略に向けたクラスタ分析を選びました。Microsoft Power BIを使って顧客データをクラスタリングし、どのような顧客属性がロイヤルカスタマーの可能性を有しているか導き出すプロジェクトです。並行して、翌月の売上予測を回帰分析で求めました。
■作成した成果物(一部抜粋)
アナリストでもあるITアドバイザーからフィードバックを受け、最もブラッシュアップした点は「伝わりやすさ」です。当初はランダムフォレストやLightGBM、重回帰分析を駆使して精度の高さを追求していましたが、「分析に終始せず施策の提案まで行ってこそ、ビジネス課題を解決できる」というアドバイスを受け、提案力を重視しました。損失額やコスト削減幅など、具体的な数字も提示するようにしたのです。
就職活動のプレゼンテーションも、技術職の方より人事の方に向けて行う機会が多いので、ITに詳しくない方にわかりやすく伝える方法を模索しました。ITアドバイザーや支援員、家族の前で何度もリハーサルを重ね、表現を磨いていったのです。結果的に、その成果物によって多くの企業から面接オファーをいただけたので、方向性は間違っていなかったと思います。
大手企業で自分の力量を試したい
多くの面接オファーをいただいた中から、国内最大手のエネルギー・素材企業に求職し内定をいただきました。入社の決め手は、大きなフィールドでデータ分析のスキルを活かしたいという希望に適っていたことと、家族のつてでホワイト企業だと聞いたことです。前職と同じ轍を踏まないよう、長時間の残業には対応できない旨を事前に伝えました。
現在の業務は、Power BIレポートの作成と他部署への技術支援、Pythonを活用した統計的分析、Power Automateによるレポート更新自動化の検討などです。データドブリン経営に向け、部内でデータ活用コンテストや分析コンテストが実施されており、Neuro Diveで習得したPythonの統計解析スキルが役立っています。Power BIを率先して活用し、部外にも波及させていくつもりです。その試みは徐々に実を結び始めており、ITを導入し始めた他部署から問い合わせを受けるようになりました。
そのような時、Neuro Diveで学んだディスカッションスキルなどを活かして、伝え方に配慮しています。アサーションは常に意識し、伝えにくいことこそ早めに伝えるよう心がけてきました。ロジカルな思考をもったメンバーが多く、建設的なディスカッションができているので、はたらきにくさは感じていません。
就労移行支援を活用して理想の就職を
就職先で、専門性の高さを給与に反映する人事制度が導入されたので、実務でデータ分析スキルと提案力を磨きながらスペシャリストを目指すつもりです。統計検定準一級やデータベーススペシャリストなど高度な資格を取得することで、社内のプレゼンスを高めたいと考えています。
定時で退社できるので、平日の夜や週末に学習していますが、新たな知識を吸収することが楽しく、学習は趣味の一つといえるかもしれません。分析手法の開拓など新たな引き出しを増やしたい場面では、ChatGPTが力を貸してくれます。とはいえ、仕事一辺倒にならないよう体調管理も徹底。8時間睡眠や食事管理、サプリメントの摂取、ランニングの習慣を継続し体力を養ったおかげで、フルマラソンを完走しました。
「Will Can Must」のフレームワークを実践し自分と向き合えたからこそ、今の私があります。これからNeuro Diveを利用する方も、長期就労というゴールにたどり着くまで、大変なことが待ち受けているかもしれません。でも、自分に何ができて何ができないかを理解した上で、ITスキルを磨いていけば、きっと長くはたらき続ける道が見つかるはずです。ぜひ、理想の就職を叶えてください。