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Neuro Diveでは、AIやデータサイエンスの分野で活躍する人材を育成し、長期就労をサポートしています。

今回は、「AIについてゼロから学びたい」とNeuro Diveへの通所を決意し、AI関連企業に就職した卒業生にお話を伺いました。通所期間中はAIスキルとともに職業準備性の習得にも力を注いでいたというNさん。Neuro Diveでの学びを土台に、AIエンジニアとして奮闘するまでの日々を振り返っていただきました。

就職者

ゼロからのスタートで飛び込んだAIの世界で、LLM活用に挑戦

N. Yさん(20代)

  • Neuro Dive 秋葉原の利用期間:1年
  • 就職先
    アポロ株式会社

家族のサポートを受け、障害と向き合うことに

学生時代は国立大学で物理学を専攻しつつ、哲学や文化人類学の講義を聴いたり、雑多に本を読んだりして過ごしていました。2年生になると心身に不調が現れました。常に無気力な状態で、体を動かすことも人と会うことも、起き上がることさえ難しくなってしまったのです。心身の不調を自覚していたものの、医療機関を受診して疾患名を明らかにすることも無意味に感じていました。1年余り、誰にも相談することなく自分の殻に閉じこもっていましたが、家族が話し合いの場を設けてくれたことをきっかけとして現状を整理。家族の強い勧めで大学に設置されている保健センターの精神科に通い始め、障害も明らかになりました。その後、大学の就労支援サービスで就労移行支援制度を知り、活用を検討することにしました。

せっかく再スタートするなら、知らないことに挑戦してみる

3カ所の就労移行支援事業所を比較検討し、AI領域の専門性の高さが決め手となりNeuro Diveに通うことにしました。IT技術に関しては、大学で計算機科学基礎の講義を受けたことがある程度の知識がありましたが、AIはまったく未知の分野でした。技術革新が目覚ましく需要が拡大していることは薄々感じつつも、「何かすごいことが起こっているらしい」という程度の認識です。他の2軒の事業所でもIT技術を学ぶことはできましたが、せっかく再スタートするならまったく知らないことに挑戦してみようと考え、AI領域に飛び込んでみることにしました。

また、大学で受けたデザインの講義が面白かった経験や、言葉・概念いじりを好む性分から、適性があるかもと考えたのも動機の一つです。物理学の世界では「whyを理解すること」が重要だとすれば、一方のこれらは言わばエンジニアリングの世界であり、「howを作ること」を中心に考えるという共通点があります。当時はまだ将来のビジョンなどありませんでしたが、AIという新興領域に親しみつつも、一過性の流行ではない、本質的な専門性を身につけたいと、通所を決意しました。

LLMを使って知識を抽出・整理するシステム作りに挑戦

Neuro Diveの講座では、主にNNモデル(ニューラルネットワークモデル)や機械学習の基礎を学習しました。NNモデルとは、脳の神経回路を模した数理モデルのことです。IT学習講座では、シンプルなNNモデルのほかにベイズ推定モデルやまったく異なるアーキテクチャ(たとえば決定木モデル)についても学んだことで、具体的な技術に加え、モデルや学習の抽象的な側面についての理解を深めることができました。

成果物のテーマは、NERタスク(文章から固有表現を抽出するタスク)に向けたBert(自然言語処理のための深層学習モデル)のfine-tuningを選びました。WEB上にある日本語の数学記事から数式を抽出し、記号の性質に応じてカテゴライズしようという試みです。たとえば、xは「変数名」グループに分類し、+は「演算子」グループに分類するといった具合です。複雑な数式の構造や意味を理解し、説明できるAIシステムの基礎になると考えました。成果物制作に必要なフロントエンドの知識やコーディング技術を習得しながら制作を進めましたが、データの収集・構造化や、固有表現ラベルの設計にも一から取り組んだため、時間がいくらあっても足りません。制作中、同じ事業所に通う仲間と情報交換する中で別のアプローチを見出すこともありました。有意義な回り道ではありましたが、制作にどこまでの幅と深さを追求するのかという見極めが、最も苦慮した点です。

就労移行支援事業所でビジネスパーソンとしての自分軸を育成

未知の領域に踏み込む際は、必ず予測不能なイベントが発生することを考慮したうえで、複数のスケジュールパターンを設定すべきだと痛感しました。「今回はスコープを縮小して残タスクは改善課題に掲げよう」といった切り分けが必要だったと思います。スケジュール管理に失敗して体調を崩すこともたびたびありましたが、その都度きちんと状況を振り返り、一日の生活リズムや体調管理について支援員と相談しながら進めました。

また、技術に対する個人的興味から成果物のテーマを選んだので、企業に向けてアピールするポートフォリオの完成には、ITアドバイザーからの詳細なフィードバックが欠かせませんでした。文章から知識を抽出するメリットや具体的なユースケースを提示し、技術的な内容だけでなく、ビジネス的な価値を理解してもらうことも重要なのだと教わりました。そのアドバイスによって、ビジネス視点を意識できたと感じています。

成果物制作に取り組む一方、職業準備性講座も疎かにしたくはありませんでした。アンガーマネジメントやストレスコントロール、セルフケアなどさまざまな講座を受講すると、異なる講座の間に共通する部分に気づけました。たとえば、アンガーマネジメント講座で「怒らない」ことではなく「適切に怒る」ことが大切なのだと気づけたからこそ、セルフコンパッション講座で「怒りを手放す」方法について考えを深められたのだと感じています。講座の時間内で腑に落ちなかった部分も面談で丁寧にヒアリングしてくださったので、疑問を解消しながら知識を吸収できました。

企業実習で目指すべきAIエンジニア像をイメージ

Neuro DiveでAIの知識を学んでいくと、自然と業界の知見も得られるようになりました。ひとくちにAIの仕事といっても、事業会社がAIツールを内製化する事例もあれば、ベンダーとして専門的に開発するスタンスもあります。しかし私は業種や業態を問わず、スキルを活かしながら強い関心をもって取り組める業務に就きたいと感じるようになりました。

そのようなとき、アポロ株式会社から実習のお話をいただいたのです。実習に参加して、福利厚生や設備の充実ぶり、就労時間や服装の自由度に好感をもちました。全体的にリラックスした雰囲気が流れつつ、仕事に取り組む緊張感がしっかり伝わってくる、素敵なオフィスです。

実習中から、「このような先輩方の背中を間近で見られる環境は成長のために理想的だ」と思っていたので、採用のお声がけをいただいたときは大変うれしかったです。当時、就職するならなんとなくAI系と考えてはいたものの、就労経験もなく、少し前までAIのことなど何も知らなかった私が、きちんと価値のあるものを提供できる人になれるイメージがありませんでした。AIエンジニアは需要が拡大している職種とはいえ、高い専門性をエンタープライズレベルで発揮することを求められるというハードルの高さを感じていたことも事実です。

しかし実習を通じて、先輩方がクライアントに価値を提供し評価を受けている姿を近くで拝見し、AIエンジニアとしてはたらくということが自分にとってリアルな選択肢に変わっていきました。実習を含む通所期間中、体調が安定しない時期もありましたが、企業への就職を叶えられたのは支援員のご尽力のおかげだと感謝しています。

広範囲なITスキルをもつ人材を目指して

現在は、LLM(大規模言語モデル)を活用したプロダクト開発や、生成AIを活用したプロジェクトに開発・分析メンバーとして従事しています。Neuro Diveで習得したAIスキルはアイデアを発展させる重要な基盤になっていますし、AI以外の知識も、プロトタイピング(試作の作成・検証)の迅速な実行に役立っています。IT全般のスキルをフル活用して業務に取り組めている一方で、職業準備性講座で学んだようなビジネススキルは十分に活かせているとは言いがたい状況です。ただ、自分に足りていない点を客観的に認識できていることは、成長ポイントとして前向きに捉えています。

アポロ株式会社では、「リスペクトある直言」を行動指針の一つに掲げており、チーム内で、お互いにリスペクトしたうえで意見を出し合える関係を築けているので、率直な意見発信ができます。ただ、私の場合は報告するに値する内容を、裏付けとなるデータや資料とともにそろえなければならないという意識が過剰にはたらきがちで、報告の頻度が下がる傾向があります。現状報告に対する心理的ハードルを下げていくことが今の課題です。

今後は、LLMや言語理論への理解を深め、多様なアイデアやアプローチを試していきたいと考えています。機会があれば、LLM以外のプロジェクトにも参加して、幅広い知見を獲得することが目標です。

Neuro Diveの利用を検討している方へ

これからNeuro Diveの利用を検討している方にも、スキル獲得のチャンスを大いに活用してほしいと思います。入社する企業によって業務効率化ツールは異なりますが、Microsoft 365などの標準的なツールを使いこなしたり、議事録をスムーズに作成したり、日々の業務を支える基礎技術は大切です。 また、自分の学びや考えを人と共有することも大変勉強になります。私自身、成果物を制作している過程で、同じ事業所に通う仲間との会話で刺激を受けることがありました。コミュニケーションスキルの向上という意味でも、技術に対する理解深化という意味でも、会話から得られる成果は大きいと実感しています。