Neuro Diveでは「機械学習・AI」「デジタルマーケティング」「ビジュアライゼーション」「業務効率化」といった4つのIT領域で活躍できるデジタルトランスフォーメーション(DX)人材を育成しています。今回は、「ビジュアライゼーション」領域において求められるスキルや学習のポイント、成果物事例について前編、後編の2部構成でご紹介します。
ビジュアライゼーションの需要と高まるDX推進
近年、データの可視化(ビジュアライゼーション)のニーズが高まった理由として、自動集計、データ分析、情報共有、この3つを満たすプラットフォームをノンコーディングで実現したい、という需要とDX推進が加速している背景が挙げられます。
ビジュアライゼーションにはこれらプラットフォームにおける一連の流れが必要です。先ず「自動集計」ですが、可視化したい情報がデータ化されていることが前提となり、そのデータ化されている情報を、目的に応じて週次、月次、年次で自動集計する工程作業です。次に「データ分析」ですが、集めたデータを、曜日ごとに平均を出す、部署ごとにパフォーマンスを比較する、といった工程作業をいいます。
「情報共有」では、その分析結果を会議体にもっていく、日付や対象部署の変更をしながら説明する、あるいは可視化されている情報を、部内の誰でも見られるようにダッシュボードにして共有することです。ここまでが最低限ビジュアライゼーションに必要な流れです。しかし、データの集計や分析にプログラミング言語を使って、コーディングするのは大変な作業です。従来、データを扱う業務は一部の専門家のみが担っていましたが、優秀なBIツールを多くの方が扱えるようになった今、誰にでも簡単にデータを集計、分析、共有を可能にさせるIT環境が実現されつつあります。最近では「データの民主化」という言葉で表現されますが、クリック一つで誰でも簡単にデータを扱えるようにする、その為に「コーディング不要」である必要があり、これを実現する為の取り組みがDXです。
では今後、データを扱うにあたり専門家が必要ないとするならば、ビジュアライゼーション領域においてNeuro Diveではどのような価値発揮ができるのかを説明します。役割には大きく2つあります。
1つ目は、「浸透の加速」です。専門家がいることによって社内の誰もがBIツールをより使いやすく、より早くそのノウハウを浸透させることができます。2つ目は、「業務の高度化」です。自動集計や分析において、専門家が特定のユーザー情報のみを抜き取る、特定のセグメントをつくる、自動化された個別レポートを最適化して提出するなど、より高度なスキルを使い貢献できます。この2つがDXの推進には必要であり、Neuro Diveもこのレベルを担うIT人材の育成を目指しています。
ビジュアライゼーションの仕事内容
ここでは、ビジュアライゼーションの一連の作業に必要な自動集計、データ分析、情報共有の仕事内容について、詳しく説明します。
「自動集計」では、データの設計、バッチの設計、管理方法の設定などを行います。データの設計とは、例えばマーケテイング部門において、社内の各部門からどういったデータが欲しいかオーダーが入ることがあります。共通するものをつくる、部門毎に必要なデータをわけて設計するのも一つの手段です。その際に、エクセルで管理されている売上や集客人数など、BIツールにデータを流し込むにはデータ形式の調整が必要となり、これら一連の作業がデータの設計業務です。
バッチの設計とは、定期的に情報を取り纏めたり、データをはきだしたりする、自動化する為の設計をいいます。例えばExcelでマスターデータを全て読み込むと重くなりますが、定期バッチをまわすことで、今日必要な最低限の情報をサーバーの指定位置に自動的にはきだせます。定期バッチの設計には、一定コーディングが必要となるので、ここにはエンジニアが定期バッチをまわしてそこにデータを置く作業を求められます。
管理方法の設定については、組織内の皆が等しく使えるようにするアカウント設定等をいいます。管理権限や閲覧権限を誰に付与するのか、権限の範囲によってはBIツールの料金形態が変わってきます。管理方法の設定は、コスト面への影響が大きい業務範囲とも言えます。
次に「データ分析」についてですが、分析にはツール上でのアドホック分析や、tableau(タブロー)やパワーBIといった外部ツールと連携した高度な分析があります。アドホック分析とは、例えば社内で「今週の新規獲得数とコンバージョンレートを出してほしい」といったような急なオーダーがあった場合、都度数値を集計する、その場で深掘りしていく等、場当たり的に分析する行為をアドホック分析と呼称しています。
最後に、「情報共有」ですが、これはわかりやすく情報を伝える為のダッシュボード作成等があります。統計学の知識や、見やすさやわかりやすさという点ではデザイン、配色といった感性も求められ、定期的なファイルのメンテナンスも必要になります。
ビジュアライゼーションの何に強みを持つかが重要
ここまで必要な業務と、仕事内容について詳しくご説明してきましたが、そもそもビジュアライゼーションを専門とした職種はなく、一つの専門職種として就職を目指すのは難しいというのが現状ですが「ビジュアライゼーションの何に強みを持つか」ということが非常に重要です。
例えば、ビジュアライゼーション・ツールが使える強みを持って、多様な業界へのアプローチが可能です。アドホックな分析をしながら情報共有ができると、数値的根拠に基づいた意思決定のサポートができ、経営層のへのプレゼン等、方向性を左右し得る機会が与えられる可能性もあります。これがBIツールを習得するやりがいになります。
ビジュアライゼーションでは他のツールやクラウドとの連携、ローカルだけでなく多様な環境での実務経験が求められます。フロントからバックエンドまで基本的なITリテラシーが求められるほか、最近では機械学習やディープラーニングまで可能なBIツールも登場し、更なる知識の多様化が求められるでしょう。また、業務が縦割りになっているような組織では、ビジュアライゼーションの需要は高いと言えます。
例えば、売り上げ目標に基づきKPIツリーが構成されているのも関わらず、縦割り構造の組織では部署間の情報共有が上手くいっていないことがあります。理想的なのは、従業員の方が皆、最終的な売り上げや、自分の担当業務がどこのKPIに繋がる仕事をしているのか把握していることです。そうすることで、仕事のやりがいが生まれ、各々で業務の優先順位をつけられます。その結果、合理的に利益を生み出しやすくなる為、縦割り構造の強い会社はBIツールの導入が適していると思われます。
もう1つは、営業部門がある会社においては、BIツールの親和性が高いです。例えば、営業先で顧客の要望をヒアリングした際、必要な情報が出せず、クライアントの要望を社に持ち帰るのではチャンスを逃してしまいます。提案に際して費用対効果など必要な情報やBIツールを用いて、速やかに情報を集約してその場で説明できれば、チャンスロスを防ぐことができ、営業の方に武器を持たせてあげられる、といった活かし方があります。
ビジュアライゼーション・ツールの種類と使い分け
ビジュアライゼーションのツールの代表的なものには以下が挙げられます。
Tableau(タブロー)
チャート、グラフ、マップなどの視覚的な要素を使用することで、データの傾向、外れ値、パターンを見て理解する方法を提供。
Microsoft Power BI
Officeソフトの感覚でデータ分析ができる。
Google データポータル(旧データスタジオ)
簡単な操作でセンスの良いレポートが作成できる。
Exploratory(エクスプロラトリー)
探索的なデータ分析業務を行うのに最適であり、最近のトレンドとされている。
これらBIツールの使い分けですが、先ほどからお伝えしている自動集計、データ分析、情報共有の3つの軸の強弱が各特長に分かれています。アドホックな分析に向いているものもあれば、違うツールとの連携に強いもの、あるいはアカウントがリーズナブルで使いやすいなど、人によっては組み合わせて使われる方もいらっしゃいます。
Neuro Diveではこの中からtableau(タブロー)、Microsoft Power BI、これらをベースにビジュアライゼーション領域を学習しています。理由としてこの2つがBIツール導入のシェアが高く、ツールの選択や使い分けが出来る人材を育成する為に、最低2つの学習機会を提供しています。
例えば就職後、データの設計部分においてツールをまだ導入していない企業がどのようなビジュアライゼーション・ツールを導入するかの判断から求められた場合、汎用性が高いものを最低2つ習得しておくと、ツールによって違いも理解出来、どちらが最適であるか考えることもできます。
次回「後編」ではビジュアライゼーションの学習方法や成果物事例について紹介します。