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2025.05.19

コラム

 

時間管理が苦手なADHDの人に伝えたい8つのコト

時間管理はビジネスパーソンに求められる基礎的スキルですが、ADHD(注意欠如・多動性障害)のある人は、「時間管理が苦手」だといわれています。悪気はないのに「約束に遅れてしまう」「締切を守れない」と悩んでいるADHDのある人もいることでしょう。しかし、原因を把握し自分に合う対策を見つけられれば、活躍の幅が広がります。そこで今回は、ADHDの特性と時間管理との関係性や、特性をカバーするコツを紹介します。

時間管理が苦手なADHDの人に伝えたい8つのコト

大人のADHDとは?

ADHD(注意欠如・多動性障害)は発達障害の一つで、原因は十分に解明されていませんが、脳の機能不全による認知機能障害と考えられています。主に「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの特性があり、成長とともに「多動性」「衝動性」は目立たなくなるといわれています。しかし、NIH(アメリカ国立衛生研究所)によると成人のADHD有病率は4.4%と推定されており、成人期まで続く慢性疾患です。

(出典:NIH「Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder (ADHD)」)

ADHDの主な特性

ADHDは表れる特性に応じて、「不注意優勢型」「多動性・衝動性優勢型」「混合型」という3タイプに分類されます。各々の代表的な特性は以下の通りです。

【不注意優勢型】
・ケアレスミスが多い
・集中維持の困難
・関係維持の困難
・作業の完遂が困難
・整理整頓が苦手
・物品の紛失やもの忘れが多い
・物事を順序立てることが苦手
・「上の空」と見られがち
・精神的努力が必要な作業を避けがち
など
【多動性・衝動性優勢型】
・じっとしていることが難しい
・一方的な会話や過度なおしゃべりが目立つ
・順番を待つことが難しい
・気分変動
・他人の言動を遮ってしまいがち
など

上記2タイプの特性を併せもつタイプが「混合型」です。

ADHDのある人はなぜ時間管理に苦手意識をもつのか

時間管理が苦手なADHDのある人は、「時間知覚機能」や「実行機能」、「報酬系回路」がうまくはたらいていない可能性があります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

時間知覚機能の不全によるタイム・ブラインドネス

人間には時間の経過を感じ取る「時間知覚機能」が備わっていますが、ADHDと時間知覚機能不全との関連性が指摘されています。ADHDのある子どもは主観的な時間経過が早いことが知られており、ある実験では60%程度のズレが認められました。時間知覚機能の不全は子どもに限らず成人でも報告されており、ADHDにタイム・ブラインドネス(時間盲)の傾向があるといわれる要因です。

米国では、就職面接でタイム・ブラインドネスへの配慮を受けられなかったと訴える女性のSNS動画が話題になりました。タイム・ブラインドネスが人生のターニングポイントで悪影響を及ぼさないよう、対策を講じる必要があります。

実行機能の弱さによるスケジューリングの難しさ

ADHDのある人は、実行機能の障害によって時間管理に困難を生じる可能性があります。実行機能とは効率的に課題を解決する能力であり、前頭葉が担っている機能の一つです。実行機能の要素には、物事に優先順位をつけて計画する力「計画・組織化」や、柔軟な対応力「転換」も含まれており、実行機能の障害は時間管理に悪影響を及ぼすものと考えられます。

主な実行機能を表にまとめました。

実行機能の弱さによるスケジューリングの難しさ

また、情報を一時的に保持する「ワーキングメモリ」の機能不全によって、「予定を入れていたはずなのにうっかり忘れてしまう」ことが起こり得ます。

報酬系回路の障害による集中力低下

人間の脳内では、目標を達成したときドーパミンという神経伝達物質が放出され、報酬系回路が活性化します。その結果、幸福感や高揚感といった「報酬」がもたらされ、モチベーションアップにつながります。

報酬系回路の障害による集中力低下

しかし、ADHDのある人は報酬系回路がうまくはたらかず、やるべきことよりも目先の楽しみに興味を奪われてしまいがちです。目標を達成する能力はあっても「先延ばし癖」が現れてしまい、時間管理が難しくなることもあります。

ADHDのある人が時間内にゴールを目指すための8カ条

ADHDは先天性の障害なので、時間管理に対する苦手意識をなくすのではなく、「時間管理が苦手」という前提で対応策を講じると良いでしょう。特性をカバーして時間内にゴールを目指す方法を紹介します。

ADHDのある人が時間内にゴールを目指すための8カ条

(1)特性を受け入れる

時間管理が苦手なADHDのある人は、以下のような悪循環に陥るケースがあります。

時間管理が苦手なADHDのある人の悪循環に陥る理由

しかし、ADHDの特性による失敗は、本人も周囲の人も必要以上にネガティブに捉えるべきではありません。アメリカの国家認定カウンセラーであるサーキス博士は、「タイム・ブラインドネスは神経発達症の一種。インスリンの分泌量が不足しているからといって、糖尿病の人を非難したりはしません。タイム・ブラインドネスもそれと同じです」と語っています。

悪循環に陥らないためには、タイム・ブラインドネスを含めた自分の特性を否定せず、ありのまま受け入れる姿勢が大切です。

(2)ゴールまでの道筋を確認し、チェックポイントを設ける

タスクを細分化(ステップ化)し、ゴールまでの道筋を可視化しておきましょう。各々に必要な時間と優先順位を明確にしておくと脳内の情報が整理され、一つひとつの作業に集中しやすくなります。ToDoリストやタスク管理アプリを活用し、細分化したタスクを達成するごとにチェックを入れると、モチベーション維持にも有効です。

また、ADHDのある人は空間認知能力が低い傾向にあるため、初めての場所を訪問する際は、最寄り駅だけでなく乗換駅や必要な乗り換え時間なども確認しておきましょう。マップビューアーで行程をシミュレーションしておくのも一案です。

(3)時を見る・時を知らせる

心理学博士のアリ・タックマンは、ADHDのある人が時間を意識するテクニックとして、アナログ時計の多用を推奨しています。デジタル時計よりも時間の経過を体感しやすいアナログ時計を常に目につく場所に置くことで、時間を意識しやすくなることを説きました。残り時間がひと目でわかるタイムタイマーの活用も、時間管理術の一つです。

ADHDのある人が時間を意識するテクニックとして、アナログ時計の多用を推奨

 聴覚優位の人は、カウントダウンタイマーやリマインダー機能(通知音)を活用すると良いでしょう。

(4)自分のペースをつかむ

自分の作業ペースを把握できるよう、タイムログの記録をおすすめします。タスクを実施するごとに「◯◯の設計に◯分」「◯◯のコーディングに◯分」と所要時間を記録し、それを繰り返します。プライベートでも、朝の身支度や朝食に何分かかるか把握した上で、起床時間を決めましょう。

また、自身のメンタルを客観的に数値化する「メンタルスケーリング」によって、集中・疲労のリズムを可視化することをおすすめします。そのデータを基に、一日のルーティンを決めたり、「優先度の高い仕事」や「休憩」をスケジューリングしたりすると、効率的にはたらけるでしょう。集中度を測定できるウェアラブルデバイスは洋服装着型や腕時計型、メガネなどさまざまな形で流通しているので、メンタルを客観的に捉えづらい人は活用を検討すると良いかもしれません。

(5)脱線を防ぎ、走りやすい道を整備する

気が逸れやすいADHDの人は、本来のルートを走れるよう脇道を塞いでおきましょう。たとえば、「ワークスペースには余計なものを置かない」「SNSや動画サイトにアクセスすると仕事関連タブへリダイレクトされるブロッカーを活用する」「スマートフォンの通知を切る」などの対策が考えられます。

そして、集中力を維持できる環境を整えましょう。他者と同時にタスクに取り組む「ボディ・ダブリング」や二酸化炭素の濃度上昇を防ぐ「CO2センサー」など、さまざまな方法があります。光や音に過敏な人は、ノイズキャンセリングヘッドホンやパーテーションを活用すると良いでしょう。

(6)所要時間を多く見積もる

スケジュール設計の際は、予定時間にバッファ(ゆとり)をプラスしておきましょう。それによってイレギュラーな仕事にも対応でき、締め切り前にパニックを起こすリスクを減らせます。

(7)楽しみながら走る

脳内伝達物質のドーパミンにはモチベーションを高めるはたらきがありますが、ADHDのある人はドーパミン分泌量の不足によって集中力を維持しづらいといわれています。つまり、ゴールを目指す意欲はあっても、給水所がないコースで脱水症状を起こしてしまう状態です。細かなタスクを達成するたび「自分を褒める」「プチ贅沢をする」など、自分で給水所を設けましょう。

また、スケジュールにタスクを落とし込む作業をパズル感覚で楽しんだり、仕事の出来にスコアをつけて他者と競い合ったりと、仕事自体をアミューズメント化する方法もあります。

(8)タイム短縮のツールを取り入れる

自分の走りに無駄がないか見直してみることも大切です。DXやRPAなど業務効率化・自動化の手法を取り入れながら、「時間泥棒」の手作業を排除しましょう。また、文書作成やデータ分析などをAIと分業すれば、大幅なタイム短縮を期待できます。

先端ITに特化した就労移行支援事業所「Neuro Dive」で特性を強みに!

ADHDのある人は、さまざまな情報に反応してしまうために時間管理が難しくなることもあるでしょう。しかし裏を返せば、新しい情報を収集したり、奇抜なアイディアを発想したりすることに秀でているともいえます。

自分の特性を強みにするには、恐れずに失敗体験を繰り返しましょう。就労移行支援や職業訓練の場で専門家のサポートを受けながらトライアンドエラーを重ねておくと、はたらく自信につながります。 先端ITに特化した就労移行支援事業所「Neuro Dive」では、機械学習やデータサイエンスといった専門スキルとともに、「特性の活かし方」を身につけられます。特性にマッチした職場を探す就職支援や、安定的にはたらくための定着支援によって、キャリア設計をサポート。「最先端分野のスペシャリストになりたい」という方は、ぜひ無料で開催しているWEB説明会にご参加ください。

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