Neuro Diveでは「機械学習・AI」「デジタルマーケティング」「ビジュアライゼーション」「業務効率化」といった4つのIT領域で活躍できるデジタルトランスフォーメーション(DX)人材を育成しています。今回は、「ビジュアライゼーション」領域において求められるスキルや学習のポイント、成果物事例について前編、後編の2部構成でご紹介します。
ビジュアライゼーションの学習
Neuro Diveではビジュアライゼーションに強みを持つ学習コースを用意しています。このコースではAI・機械学習やデジタルマーケティング、業務効率化といったBIツール以外の領域も学習します。前編でもお伝えした通り、ビジュアライゼーションを専門とした職種はありませんが、他の領域との組み合わせによって多様な業界へアプローチできる可能性が広がります。
ビジネスにおける活用シーンの一例
- 機械学習の結果をビジュアライズする、ビジュアライズの結果を機械学習させる
- バッチ処理とRPA※1を組み合わせた業務効率化の提案
- アドホック分析をデジタル領域のマーケターとして高度な案件に取り組む
上記のように、「どんなビジネス課題を解決する為に、どういった情報を視覚化するか」という課題感をもってITスキルを活かせる人材を企業側も求めています。
ビジネスにおいて大事なのは「想像力」です。これは私たちも含め、先端IT領域で価値発揮を目指しNeuro Diveを利用される方にも共通していえます。ご自身が持っている技術や知識がどうすれば必要とされるのか、これを見つけるのは想像力によるものです。そして想像するに足る知識をインプットする努力は必要です。
学習の軸となるもの
ビジュアライゼーションでは、大きく以下の流れで学習を進めます。
- ビジュアライゼーションの学習はBIツールでシェアの高いtableau(タブロー)、Microsoft Power BI、この2つを中心にサンプルデータを使ってダッシュボードを作成
- 事例を収集し、取り組むテーマ決定。その後作成したダッシュボードに対してITアドバイザーが個別にフィードバックを行いながら、成果物の完成度を高める
取り組むテーマについては、ご本人が興味のある、または行きたい業界や業種を最初の段階で決めることも重要になります。例えば貿易業界に行きたい方は、商社の事例など業界のサンプルデータを参考にして作成していきます。こういった軸があることによって「各業界においてどういった情報の可視化が求められるのか」想像しながらダッシュボードを作成できるようになるだけでなく、就職活動フェーズでポートフォリオとしても活用できます。使用するサンプルデータも様々ありますが、統計局※1が無料で提供しているデータを活用する場合もあります。例えばある特定地域の1年間の天気情報と、農作物の収穫量をもとに、何日雨が続くと収穫量が減るのか、などBIツールを使い統計的な分析も可能です。集めたデータが、どの業種の、どういった課題を解決できるのか、ここでも必要となるのが想像力です。
かつては専門のスキルとされており、今では当たり前に使われているWordやExcelのように、現在においてはBIツールも「使えて当然」になりつつあります。ツールの使い方を知っていることを専門性だと思う方も多いのが現状ですが、BIツールをはじめRPA※2、Googleアナリティクスなどは誰もが使えるべきだとNeuro Diveでは考えています。これらツールは専門家ではない人も使えるように設計されており、どんな分析をしたのか、どれだけビジネスに貢献したか、ツールを使ったその先の成果が、結果としてその人の専門性になるように私たちはご支援しています。
※1 統計局HP
※2 ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)
発達障害のある方には「感性」の補完が必要
ビジュアライゼーションを行う際のポイントとなるのが想像力に加えて、論理性と感性の両立と使い分けです。この論理性があることと、合理的である、というのは別です。あくまでご本人の論理でしかなかったり、狭い知識の中で成り立っている論理だと、結論が間違ってしまう場合もあります。
Neuro Diveを利用されている方の多くは論理性において適性はありますが、特性により感性が足りていないことが多分にあります。ここでいう感性とは想像力と近いものがあって、「どれだけ相手に伝わるか」を考える力のことです。「他人にどう思われるか」という視点をもつことは、ITスキル以前に、社会ではたらくにあたり必要なベーススキルです。成果物を仕上げていく過程で、他人からどう見られているのか客観視できる状態になり、BIツールの学習に加えて、想像力という社会ではたらくベーススキル習得にも繋がります。作成した成果物を「その配色で伝わりますか?」「その数字の見せ方で伝わりますか?」「そのプレゼン手法が適切でしたか?」といったように、細かく指摘をしていくことで、他人にどう思われているのかをケーススタディとして学べます。ビジネスは論理性だけでは決して成立しません。これは発達障害のある方にとって最大の課題でもあります。仮に正しいことを言っていたとしても、相手がそれを受け入れるのかは別の問題です。例えば、ビジネス上のコミュニケーションで何か間違いを指摘しなければいけない時に、その指摘の仕方で相手に伝わったかどうかはチェックポイントです。その後、それを本人が納得したかどうか、受け入れて実行に移すかどうかが、2つ目のチェックポイントです。相手に伝えるということをシビアに捉えなければいけないのが、このビジュアライゼーションの特徴とも言えます。
ビジュアライゼーションの成果物事例
Neuro Diveでは就労経験のある利用者の方は、前職に関連するデータを使ってより実践的な成果物を作ります。就労経験のない方でも、BIツールのダッシュボードは事例も含めてたくさんのリファレンスがあるので、検討しながら何度も修正を重ねて作り込んでいきます。就職準備にあたり、成果物の差別化はとても重要です。ここでは、ある利用者の成果物事例を紹介させていただきます。
製造業で就労経験があるAさんは、前職は工場で部品生産に携わっていらっしゃいました。そこで前職の経験と学習したITスキルを活かして、必要な部品を発注する際に各部品の面積データを自動集計して見積に自動的に算出する成果物を作成しました。工場では部品を発注する際に、CADで図面を作成し、その図面からサイズや材料に関わる費用を出します。このCADデータをもとに部品の面積に関わるデータを集計し、分析することで、自動的に見積が出せるようにしました。これによって部品ごとにサイズや材料を算出する手間をコストカットできます。
就労経験から課題を見出し、習得したRPAやBIツールを活かし、ビジネスの課題解決に直結している点で、この成果物は非常に価値があると思います。既にAさんは利用数か月目で、実習先企業が数社決まっていらっしゃいます。
今回の事例のように、就職経験がある方はビジュアライゼーションを習得していくことによって、自身の就労経験を活かしたビジネス視点での成果物が作れるようになります。また就職経験のない方でも、リファレンスを用いて想像力とビジネス視点を養いながら人に何かを伝える、自分の発見を人に伝える力そのものが身に付くようになります。
是非、あなたもビジネスで価値発揮が出来るIT人材を目指して、Neuro Diveでビジュアライゼーションを学んでみてはいかがでしょうか。