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2023.09.07

コラム

 

データを可視化するデータビジュアライゼーション|仕事内容やビジネスで活躍するための学習

こんにちは、AIや機械学習が学べる就労移行支援事業所「Neuro Dive」です。今回はNeuro Diveにおける学習領域の一つである「データビジュアライゼーション」について紹介します。データビジュアライゼーションとは、データ群を分析し、図や表などにビジュアル化することをいいます。ビッグデータ時代の到来やBIツールの発達などによって飛躍的な進化を遂げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進を支える技術です。

データビジュアライゼーションとは、情報・データを可視化すること

データビジュアライゼーションとはひと言でいうと「情報の可視化」で、集積されたデータをグラフィックに表現する技術のことです。データをいくら集めても、それを活用できなければ意味がありません。データビジュアライゼーションは、混沌としたデータの羅列をわかりやすく視覚化することで、そこに潜む因果関係や課題、指針を顕在化し、データドリブンな意思決定を可能にします。

例えば、数値情報のグラフ化や人口推移のマップ化もデータビジュアライゼーションの一つです。

なぜデータビジュアライゼーションの需要が高まっているのか

近年、ノンコーディングで自動集計・データ分析・情報共有を満たすプラットフォームの需要が高まっており、この需要に応える技術としてデータビジュアライゼーションが注目されています。

さらに、ビッグデータ時代の到来が、データビジュアライゼーションの需要を後押ししています。ITやネットワークの発達によって日々膨大なデータが集積されており、そのデータを活用してデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現しようという動きは年々加速するばかりです。

デジタルトランスフォーメーションを推進する上で、データビジュアライゼーションは欠くことのできない技術の一つです。データビジュアライゼーションはデジタルトランスフォーメーションを支え、新たなビジネスモデルや社会モデルを生み出す推進力になり得ます。

世界的に見てもデータビジュアライゼーションの需要は高く、2019年に88億5000万米ドルだった市場規模は、2027年までに192億米ドルに到達することが予測されています。

データを可視化することでビジネスの意思決定の迅速化が可能に

あらゆるビジネスシーンにおいて、データビジュアライゼーションは意思決定の迅速化を可能にする技術として活用度が高まっています。2023年の調査によると、国内では慣習のためにタイムリーな意思決定が停滞しているという結果が公表されました。現代社会において意思決定の迅速化は喫緊の課題であり、その克服に向けてデータビジュアライゼーションの果たすべき役割はますます大きくなっています。 では、なぜデータビジュアライゼーションが、意思決定の迅速化を可能にするのか、2つの主な理由を紹介します。

<理由1>大量のデータをスムーズに理解できる

人間の脳は、数字や文字の羅列よりも、表や図のようなグラフィック情報の処理能力に長けているという研究報告があります。データの全体像を直感的に理解し、パターンや外れ値をいち早く発見するには、データのビジュアル化が有効です。

<理由2>情報が伝わりやすい

アナリストは自身がデータを理解するだけでなく、ユーザーに正しく説明する必要があります。データをビジュアル化することで、注目すべき箇所を明らかにし、ユーザーの理解と意思決定を促せます。

データビジュアライゼーションを活用できる仕事は?

現状、データビジュアライゼーションを専門とした職種はなく、一つの専門職種として就職を目指すのは難しいといった状況です。しかし、他の領域との組み合わせによって多様な業界へアプローチできる可能性が広がります。ここでは、データビジュアライゼーションの活用度が高い業界や職種を紹介します。

業界を問わず、ボーダーレスに活躍できる

さまざまな業界でデータビジュアライゼーションを扱える人材へのニーズが高まっています。企業にとってデータビジュアライゼーションの存在価値は、「情報の見える化」ではなく、その先にある課題解決です。そのため、データビジュアライゼーションの専門家には分析スキルのみならず、業界の知識や、ユーザーと目的意識を共有する姿勢が求められます。データビジュアライゼーションはあらゆる業界で活用可能ですが、特に親和性の高い業界をピックアップします。

  • 金融業界
    情報セキュリティ対策を図りつつ膨大な顧客データを活用する際に、データビジュアライゼーションが役立ちます。
  • 小売業界
    実店舗からデジタルコマースへの移行が進む中、プラットフォームに蓄積された消費者データを有効活用することで、売り上げ拡大が期待できます。
  • 製造業界
    リソースや稼働状況のビジュアル化によって、安定的なオペーレションと生産の効率化を可能にします。
  • 物流業界
    配送ルートの最適化や在庫状況の把握など、重要課題の解決に役立ちます。
  • 医療・ヘルスケア業界
    治療法の研究や研究発表、患者への教育、病院経営などにデータビジュアライゼーションを導入することで、医療サービス向上につながります。

幅広い職種・組織でニーズが拡大

デジタル化時代の今、あらゆる職種・組織において活用すべきデータは日々蓄積されています。カスタマーデータはもちろん、SNS上に散らばっているソーシャルメディアデータやWebサイトデータ、測定機器によって集積されたセンサーデータなど、あらゆるデータの中にビジネス価値が潜んでいます。

データ活用の機会が多い職種として、専門職はもちろん、経営や教育などが挙げられるでしょう。経営においては、利益率や自己資本比率、売上高増加率などの指標をビジュアル化し、月次や四半期ごとに推移を見える化すれば経営の判断材料になります。世界の現状を正しく把握し、他者に伝えるジャーナリストも、データ活用度の高い職種です。オンラインや紙面など媒体を問わず、データビジュアライゼーションを挿入することによって、記事の信ぴょう性や説得力を増す効果が期待できます。

データビジュアライゼーションの活用範囲は、今後、あらゆる職種・組織へと拡大していくでしょう。なぜなら、データをわかりやすくすることで恩恵を受けない職種・組織は皆無といっても過言ではないからです。

例えばマーケティングや営業職だと

会社組織の中でも、特にシビアな業務効率化を求められる職種といえば、マーケティング・営業職でしょう。顧客データやSNSデータ、オープンデータなどを活用し、インサイトや市場動向、自社の立ち位置を可視化することで、戦略立案がスムーズになります。

また商談の場面では、費用対効果や販売実績などのデータを可視化しておくと、説得力のある営業プレゼンを実現できるでしょう。商談の場で対話操作型のデータビジュアライゼーションを活用すれば、クライアントの要望を社に持ち帰ることなく、その場でデータを提示できるため、機会損失リスクも減らせます。さらに、営業部門の実績を可視化できれば、行動指針の明確化や営業活動の効率化につながり、属人化の解消にも役立つでしょう。

縦割り構造の強い組織でも役立つ

業務が縦割りになっている組織は、データビジュアライゼーションの需要が高い傾向にあります。例えば、縦割り構造の組織では売り上げ目標に基づきKPIツリーが構成されているにもかかわらず、部署間の情報共有がスムーズに行われていないことがあります。その場合、自分の担当業務がどのKPIにつながっているのか、最終的な組織目標とは何か、社員各人が把握できない状況を招きかねません。

データビジュアライゼーションは部署間の情報共有を容易にし、各部署が目指すべき指針や業務の優先順位を明確にします。結果的に成長マインドセットを獲得できるため、縦割り構造の強い組織ほど、データビジュアライゼーション導入のメリットが大きいといえるでしょう。

データビジュアライゼーションの流れ

ここからは、ビジュアライゼーションの一連の作業に必要な自動集計・データ分析・情報共有の仕事内容について、流れに沿って紹介します。

<1>データ自動集計の仕組みを作る

まず、データを自動集計する仕組みを作ります。自動集計とは、BIツールなどを用いて、ビッグデータから必要な情報を収集・統合するプロセスのこと。手動で集計するよりも、迅速かつ正確なデータ収集・統合が可能になります。この仕組み作りによって、社内外に拡散したデータソースを横断しながら形式の異なるデータを自動集計し、さらに、グラフやダッシュボード上にわかりやすく可視化できます。自動集計の仕組み作りにあたって、まずは「データ設計」「バッチ設計」が必要です。

データ設計とは、どのようなデータ(売上、リード数)をどのような表現方法(グラフ、表)で可視化するかを検討することです。組織内で部門ごとに必要なデータや構成が違ってくるため、各部門のニーズに沿った設計を行います。

バッチ設計とは、可視化するデータを最新の情報に保てるよう定期的にデータを集計し、サーバーなどに出力するシステムを構築することです。読み込むデータが重くなりすぎないよう、必要最低限の集計を行う設計が必要になります。

データおよびバッチ設計のほか、管理方法についても初期の段階で取り決めが必要です。組織内で誰が管理者となるか、閲覧者となるかを定めます。権限周りはBIツールの料金形態にもかかわるため、コスト設計の上でも必要なプロセスです。

<2>データを分析する

集計の仕組みができデータが集まったら、次は分析に入ります。tableau(タブロー)やMicrosoft Power BIなどのBIツールと連携したアドホック分析などがあります。アドホック分析とは、周期的な分析ではなく、必要に応じて単発的に行う分析のこと。例えば、「今週の新規獲得数とコンバージョンレートを出してほしい」という急なオーダーに対して、即時的にデータの集計と分析を実施します。

分析したデータをビジュアライゼーションに変換し、デザイン設計を行います。グラフやマップ、図形、テキストなどの中から効果的なツールを選定し、視覚化によってデータストーリーテリングを追求。意外かもしれませんが、「伝わるビジュアライゼーション」には豊かな色彩表現やアート表現を生み出す感性も必要です。

<3>情報共有する

最後のステップとして情報共有を行います。データビジュアライゼーションは情報共有が前提となるため、シンプルなデザインが求められます。プレゼンには時間的な制約があり、ユーザーが理解しづらいデザインは時間を浪費するためです。

事前準備の際は、ユーザーのデータに対する理解度や専門領域の習熟度を考慮する必要があるでしょう。その上で、完成したデータビジュアライゼーションに対し、どのようなコメントを添えればよいかを検討します。プレゼンは、会議の場で発表する、あるいは作成したダッシュボードで共有する、といった方法があります。

データビジュアライゼーションで使われるツールの種類

データビジュアライゼーションを行う際には、ツールの利用が欠かせません。身近なソフトから機能リッチなBIツールまでさまざまなツールを組み合わせて活用できれば、高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。

各種BIツール

データ量が大量になる場合は、各種BIツールを使うとよいでしょう。高コスパのものや他社製品との連携に優れたもの、アドホック分析に適したものなど、ツールによって特長が異なります。中でも、Tableau(タブロー)やMicrosoft Power BIのように大きなシェアを占めるツールは汎用性が高いため、習得しておくことが望ましいでしょう。

  • Tableau(タブロー)
    チャート、グラフ、マップなどの視覚的な要素を使用することで、データの傾向、外れ値、パターンを見て理解する方法を提供
  • Microsoft Power BI
    Officeソフトの感覚でデータ分析ができる
  • Looker Studio(旧データポータル)
    簡単な操作でセンスの良いレポートが作成できる
  • Exploratory
    探索的なデータ分析業務を行うのに最適であり、最近のトレンド
  • D3
    JavaScriptベースの開発環境によって、ダッシュボードやウェブサイトへのシームレスな統合が可能

そのほか

Excel

ビジネスシーンで広く用いられている表計算ソフトを活用して、ダイアグラムを作成できます。容易にカスタマイズできる一方で、他社製品との連携やデータ量などの課題は残ります。

Python(プログラミング言語)

ツールではありませんが、プログラミング言語の習得もデータビジュアライゼーションに役立ちます。プログラミング言語の一つ、Pythonのライブラリを活用すれば、多様なビジュアライゼーションが可能です。例えば、グラフ描画ライブラリ「Matplotlib」を使用すれば、折れ線グラフや棒グラフ、散布図、ヒストグラムなどを作成できます。また「Altair」は、構文が比較的シンプルでありながら、洗練されたデザインのグラフィックを作成できるのが特徴です。

データビジュアライゼーションの学習方法

扱いやすいツールが登場し、IT環境が整備された今、データビジュアライゼーションの学習を始めるには絶好の機会です。シェア率の高いTableau(タブロー)やMicrosoft Power BIは、ぜひとも習得しておきたいツールです。データベースに関する資格や統計検定の取得を目指す学習も、データビジュアライゼーションに役立つでしょう。AIを活用するフェーズを見越してディープランニングを学べば、より高度な専門性を身につけられます。

入門時は、無料コンテンツやブログを視聴し、目指すべきデータビジュアライゼーションのイメージを固めるとよいでしょう。より体系的な知識を得たくなったら、最新書籍や有償プログラム、教育プラットフォームを活用した継続的な学習が、スキルアップへの近道です。

知識をインプットするだけでなく、積極的にアウトプットする姿勢も大切です。行政のオープンデータやサンプルデータ集などを使い、とにかく手を動かしてビジュアル化してみると、補完すべきスキルや目指すべき方向性が見えてくるでしょう。ビジネスシーンで活躍するなら、「どのようなビジネス課題を解決するために、どういった情報を視覚化するか」という想像力が求められます。学習においても、常に意識しながら取り組むことが大切です。

Neuro Diveでの学習

先端ITスキルに特化した就労移行支援事業所「Neuro Dive」では、データビジュアライゼーションに強みを持つ学習コースを用意しています。AI・機械学習やデジタルマーケティング、業務効率化といったBIツール以外の領域も学習するコースです。データビジュアライゼーションでは、大きく以下の流れで学習を進めます。

  • BIツールでシェアの高いTableau(タブロー)とMicrosoft Power BIを中心にサンプルデータを使って、ダッシュボードを作成
  • 事例を収集し、取り組むテーマを決定。その後、作成したダッシュボードに対してITアドバイザーが個別にフィードバックを行いながら、成果物の完成度を高める

このような軸があることで、「各業界においてどのような情報の可視化が求められるのか」を想像しながらダッシュボードを作成できるようになります。成果物は就職活動のフェーズでポートフォリオとしても活用できます。

ビジュアライズは論理性と感性の両立が大事

学習していくうえでポイントとなるのは、いかに「論理性」と「感性」を両立し使い分けていくかです。

データビジュアライゼーションは技術と芸術が交わる中間点に位置します。そのため、Neuro Diveでは感性を補完するためのケーススタディに力を入れています。ビジネスシーンでのビジュアライゼーションでは、自己表現ではなく他者に伝えるために、配色やフォント、レイアウトなどのデザインすべてに客観的な視点が求められます。

学習によってできることとは?制作事例をご紹介

「Neuro Dive」の学習プログラムは、ビジネス視点を備えたデータビジュアライゼーションを可能にします。利用者の手で制作された、クオリティの高いデータビジュアライゼーションの実例を紹介します。

製造業における部品発注の見積もりを自動算出

製造業で就労経験があるAさんは、「Neuro Dive」で学んだITスキルと前職の経験を活かし、部品を発注する際に各部品の面積データを自動集計し、見積もりに自動算出する成果物を作成しました。

工場では部品を発注する際に、CADで図面を作成し、その図面からサイズや材料に関わる費用を出します。このCADデータをもとに部品の面積に関わるデータを集計し、分析することで、自動的に見積もりが出せるようにしました。これによって部品ごとにサイズや材料を算出する手間が削減できます。

就労経験から課題を見出し、習得したRPAやBIツールを活かしながら、課題解決に直結するデータビジュアライゼーションを作成した事例です。ビジネス視点を持っているAさんは、利用数カ月目で複数企業の実習が決定し、再就職への道を切り拓きました。

今回の事例のように、就職経験がある方はデータビジュアライゼーションを習得していくことによって、自身の就労経験を活かしたビジネス視点での成果物が作成できるようになります。

データビジュアライゼーションへの理解を深めよう

ビッグデータ時代にあって、データビジュアライゼーションは最も有益な専門スキルの一つといえるでしょう。利用価値の高いデータビジュアライゼーションを作成するには、ITスキルや分析スキルだけでなく、ビジネス視点を持つことが大切です。

「誰がなんのためにどのようにデータを活用するのか」という5W1Hを意識しながら制作するとよいでしょう。ビジネス視点を持つアナリストは、どのツールを選択しどのようにビジュアル化すればユーザーから評価を得られるか、自然と理解できるようになります。高いスキルとビジネス視点を両立し、価値の高いデータビジュアライゼーションを実現してください。