資料ダウンロード WEB説明会申込

2023.10.11

コラム

 

AI・機械学習の勉強法と必要なスキルを解説

先端ITスキルを学べる就労移行支援事業所「Neuro Dive」です。今回はNeuro Diveにおける学習領域の一つである「AI・機械学習」について紹介します。

近年、生成AIの進化がめざましく、会話形式でやり取りできる人工知能チャットボット「ChatGPT」や、入力テキストを基に画像を生成するAIモデル「Stable Diffusion」など、多様な生成AIが注目を集めています。生成AIがビジネスに与える影響も大きく、AI・機械学習のビジネス価値は高まるばかりです。そこで今回は、AI・機械学習領域を目指す方のために、学習方法や必要なスキルについて解説します。

AI・機械学習の知識を身につけることの価値は高まっている

ChatGPTに代表される生成AIの登場によって、AIに対する関心が世界的に高まっています。今やAIはファンタジーの世界ではなく、1次産業から6次産業まであらゆる領域に浸透しています。内閣府の「AI技術領域 成果報告」を見ても、いかに幅広い領域でAIの活用が進んでいるかがわかるでしょう。

いまやAIを活用していない業種は皆無といっても過言ではありません。販売業を例に挙げると、顔認証機能を活用して来店者の属性(性別・年齢など)を分析したり、商品棚の画像を解析して店頭調査を実施したりと、AIがマーケティング戦略に変革をもたらしています。ビジネスシーンのみならず、日常生活にもAIを搭載したスマート家電やAIツールが浸透。AIツールの代表例として、「DeepL Pro」「shutto翻訳」などのAI自動翻訳ツール、検索履歴や購入履歴をもとにおすすめ商品を表示するAIレコメンド機能が挙げられます。2023年、音声認識サービス「Alexa」は、大規模言語モデル(LLM)や動画認識を活用した新機能のデモを公開しました。まるで人間のように会話するAIが日常生活をサポートしてくれる日も、そう遠くありません。

AIの発展と密接な関係にあるのが、ビッグデータです。AIの中でも特に機械学習やディープラーニングが発展したことにより、ビッグデータと呼ばれる膨大なデータ群の解析が可能になりました。「AI×ビッグデータ」の相関関係によって、ビッグデータから新たな価値を創出し、飛躍的なイノベーションを可能にします。AI・機械学習は、現在発展しているデジタル社会の中核を担う技術であり、そのスキルを習得することで社会変革に貢献できる可能性が高まるでしょう。

そもそもAI・機械学習とは?何ができるのか

AIとは「Artificial Intelligence」の略で、日本語では人工知能と訳されます。人工知能学会の公式ホームページによると、AIは「知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術です」と解説されています。ただし、一義的な定義はありません。

AI技術の一つである機械学習は、コンピュータによって膨大なデータを読み解き、パターンやルールを見出す分析技術です。コンピュータ自ら学習を継続する機械学習によって、分析精度は大きく向上しました。

AIは「汎用型AI」と「特化型AI」の2種類に大別されますが、人間と同じようにさまざまな課題を処理する汎用型AIは、いまだ実現していません。総務省の資料によると、特化型AIにできることは大きく分けて「識別」「予測」「実行」の3領域。そこからさらに12領域に分類されています。

AI・機械学習にできること

領域 できること 内容
識別 画像認識 画像の特徴を抽出し、撮影対象を認識・判別する技術。顔認証などにこの技術が活かされています。産総研では、数式で生成した画像を用いた事前学習によって、画像認識の精度を高める技術を開発しています。
動画認識 映像解析とも呼ばれ、動画から必要な情報を抽出する技術です。製造ラインの不良品検知や監視カメラの映像分析などに導入されています。
自然言語処理 人間が日常的に用いる言葉をプログラミング言語に変換し、抽出や解析、生成を行う技術です。DeepL Proのような翻訳ツールやChatGPTをはじめとするチャットサービスは、この技術の上に成り立っています。
音声認識 人間の発話をテキストデータに変換し出力する技術です。「Alexa」に代表されるバーチャルアシスタントや音声翻訳アプリなどにこの技術が活かされています。
予測 数値予測 データに基づき特定の数値を予測する回帰分析の技術です。株価や不動産価格、農作物の収穫量、疾病リスクなど、あらゆる数値予測に活用されています。
意図予測 質問の真意を汲み取り、適切な回答を導くために用いられる技術です。この技術を採用したFAQページでは、曖昧な表現や誤入力にも対応しています。
ニーズ予測 市場動向や過去の売上データなどを基に需要(売上)を予測する技術によって、業務効率化を実現できます。食品ロス削減や省エネルギー化など、ESG推進にも役立つ技術です。
マッチング 個々のニーズに適した人、モノ、場所を結びつける技術です。たとえば、企業と求職者、仕事の案件と人材、移住希望者と候補地などのマッチングが挙げられます。
実行 表現生成 生成AIによって文章や楽曲、画像など、クリエイティブな生成物を生成する技術です。入力テキストを基に画像を生成する「Stable Diffusion」など高精度な生成AIの登場によって、注目度が高まっています。
デザイン 画像認識や自然言語処理といった技術を集約し、商品パッケージやロゴなどのデザインを自動化します。2022年、AIデザインツール「Microsoft Designer」がリリースされ、日常生活に浸透しつつある技術です。
行動最適化 事業計画の作成やスケジューリング、業務運用などあらゆるフェーズでの意思決定を自動化する技術です。人だけでなく、ロボットの行動を最適化することによって、人とロボットの協働を可能に。
作業の自動化 RPA(ロボットによる業務の自動化)にAIを搭載することによって、幅広い領域の作業を自動化する技術です。特に、自動運転やルーティン業務、バックオフィス業務において、導入が進んでいます。

AI・機械学習を活用できる仕事とは?

AI・機械学習を活用できる仕事は多岐にわたります。AIに特化したIT系の仕事もあれば、他分野でAIを導入する仕事もあり、キャリアパスは多様に存在します。自身がAI・機械学習とどのように関わりたいのか、何を実現したいのかによって、目指す職種は変わってくるでしょう。

ここでは、AIにまつわる職種の一部を紹介します。自身は、「AIを構築したい」のか「AIを活用したいのか」、具体的にどのような仕事をしたいのか、下記を参考に検討してみてはいかがでしょうか。

AIを構築する仕事

AIエンジニア AIにデータを与えて学習させ、最適なアルゴリズムでモデルを構築・実装する仕事です。
IoTエンジニア モノとインターネットをつなげるloTのシステムを設計・開発する仕事です。loTデバイスで収集した膨大なデータの加工・分析に、AIが活用されています。
AIリサーチャー AIの研究者として、AIを活用したサービスの研究・開発に携わります。

AIを活用する仕事

データサイエンティスト AIや機械学習を用いて分析モデルを構築し、ビッグデータから必要な情報を収集・分析。その結果をビジネスの課題解決に活用します。データアナリストと共通項の多い職種ですが、より高度なデータ分析技術が求められます。
AIコンサルタント 企業の課題に応じたAIソリューションの提案と導入、AIを活用した経営戦略の策定、プロジェクトのサポートなどを行います。
マーケター ビッグデータ時代の到来により、AIを導入するマーケターが活躍。AIを活用したニーズ予測や市場分析によって、高度なマーケティング戦略を策定しています。
AIアーキテクト データサイエンティストをはじめとするIT系人材とビジネス部門のパイプ役を務め、事業の高度化や効率化を図ります。
AIプロダクトマネージャー AIを活用した市場分析や競合分析を基に、プロダクトチームを牽引する責任者です。

どの仕事もAI・機械学習の基礎的なスキルが求められます。さらに「AIを構築する仕事」の場合は高度数学やデータベース運用、フレームワーク・ライブラリのスキルが必要です。「AIを活用する仕事」は、アーキテクチャ設計やコミュニケーションスキル、プレゼン力が主戦力になるでしょう。

また、AI・機械学習のプログラミング言語はPythonが主流ですが、組み込み系の場合はC言語、アプリケーション開発の場合はJavaを用いることもあります。自分のやりたい仕事を見定めて、必要なスキルを身につけましょう。

AI・機械学習領域で必要なスキルと学習の流れ

AIエキスパートを目指すには、下表に示したように基礎スキルを固め、目指す職種に応じた応用スキルを積み重ねる必要があります。ここでは、AI・機械学習に入門する初心者のために、必要な基礎スキルと学習の流れを紹介しましょう。

  1. AI分野で実現したいことや希望の職種を検討する
  2. 基礎統計・数学を学ぶ
  3. 基礎的なプログラミングを学ぶ
  4. 機械学習のアルゴリズムを理解する
  5. データベース・クラウドの知識を身につける
  6. 実践する
  7. 業界への理解を深め、プロフェッショナルスキルを身につける

1. AI分野で実現したいことや希望の職種を検討する

ステップ1では、AI・機械学習の領域にはどのような仕事が存在するのか俯瞰で把握し、希望職種を見つけましょう。最初に希望職種を決めることで、適切な学習ロードマップを作成できます。また、AI・機械学習を活用して実現したいことをイメージできれば、学習のモチベーションも上がるでしょう。

AIとどのように関わりたいかによって学習内容は少しずつ変わってきますが、共通して求められるスキルもあります。学習段階ですべてを完璧にマスターする必要はなく、実践の中で必要なスキルを取捨選択し、技術と知識を身につければよいでしょう。

2. 基礎統計・数学を学ぶ

ステップ2では、基礎統計・数学を学びなおします。AI作成ツールは進化しており、理論よりも実装が求められるエンジニアの場合、数学の知識がなくてもAIモデルを実装したアプリを開発できる時代になりました。

しかし、より高性能なモデルを追求してフルスクラッチしたり、分析精度向上に向けてチューニングや動作検証を行う場合、数学の知識は有用です。プログラミングには数学が共通言語として用いられており、AI・機械学習の中身に対する理解を深めるには、数学の知識は必要不可欠です。下記の分野は押さえておきましょう。

役立つ基礎統計・数学の知識

  • 微分積分
  • 確率統計
  • 線形代数
  • 指数対数・関数対数
  • 行列

3. 基礎的なプログラミングを学ぶ

ステップ3では、機械学習に必要なプログラミングを学びます。機械学習に用いられる主な言語は、Python、R言語、C++、Julia、JavaScriptなど。特にPythonは、シンプルな文法で可読性の高いコードが書けるスクリプト言語として、機械学習分野で高いシェアを獲得しています。

Pythonにはフレームワークやライブラリも充実。高速演算を可能にするNumpyや幅広いデータセット処理を行えるpandasなど、有能なフレームワーク・ライブラリを使い分けることで、質の高い機械学習を実現できるでしょう。

主に用いられるプログラミング言語

  • Python
  • R言語
  • C++
  • C
  • Julia

利用できるフレームワーク・ライブラリ例

  • TensorFlow
  • Microsoft Cognitive Toolkit
  • Pytorch

4. 機械学習のアルゴリズムを理解する

ステップ4では、機械学習のアルゴリズムを理解します。アルゴリズムとは、問題解決に向けた計算方法や操作方法のこと。機械学習では、適切なアルゴリズムにデータを与えて学習させることにより、高難度な分析を可能にします。

機械学習の手法は、大別して「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3種類あり、各手法に複数のアルゴリズムが存在します。代表的なアルゴリズムとして、「決定木」や「K近傍法」などがあります。決定木分析は分析結果を分かりやすい樹形図で可視化でき、専門外の人にも分かりやすくプレゼンテーションできるメリットがあります。K近傍法は、データが増えるにつれ時間はかかりますが、アルゴリズムが非常にシンプルで、分析結果がブラックボックス化(AIの思考プロセスが不明瞭な状態)する懸念がありません。

効率的な学習のためには、自分に必要なアルゴリズムを見極めることが大切です。各アルゴリズムの長所と短所を把握し、自身の目指す職種に適したアルゴリズムを習得しましょう。

代表的なアルゴリズム

  • 線形回帰
  • ロジスティック回帰
  • サポートベクターマシン
  • ニューラルネットワーク
  • 決定木
  • ランダムフォレスト

5. データベース・クラウドの知識を身につける

ステップ5では、データベースにデータを格納・処理するスキルやクラウドAIの知識を身につけます。近年では、データベースエンジンに機械学習機能を搭載するケースも見られます。データベース言語であるSQLの習得が役立つでしょう。

6. 実践する

ステップ6では、課題を決めて実際にデータ分析を行います。いざAI・機械学習のスキルを習得しても、すぐに実践の場で試せないケースもあるでしょう。そのような方には、Kaggleのようなコンペティションプラットフォームの利用をおすすめします。

企業や政府等からコンペティション形式でデータ分析に関する課題が提示されるので、習得したスキルを活用し、トライアルアンドエラーを繰り返しながら課題解決に向けて取り組むことが可能です。スコアリング等を通じて、構築したモデルの客観的な評価を得られるため、自分のレベルを把握できるでしょう。

代表的なコンペ例

  • Kaggle
  • Signate
  • Nishika

7. 業界への理解を深め、プロフェッショナルスキルを身につける

ステップ7では、目指す業界や業種への理解を深め、必要なスキルを身につけます。たとえば、生成AIをサポートするプロンプトエンジニアを目指すのであれば、自然言語処理の知識や言語化スキルが求められるでしょう。AIコンサルタントを目指す場合、プレゼンテーション能力やマネジメント能力を身につける必要があります。

専門性を高めるために身につけたいスキル

専門的な知識がなくてもシステムを開発できるノーコード・ローコードの台頭によって、従来型IT人材の役割は変化しつつあります。また、AI・機械学習による自動化が進み、データプレパレーションや分析の時間は大幅に短縮されました。

余剰時間を活かして先端IT人材が能力を発揮し、他者と差別化を図るには、クリエイティブ ・スキルやビジネス・デザインスキルが有用です。プログラマーやエンジニアの枠を飛び出し、デザイナーや起業家の視点でスキルを磨くことで、業界での競争力が高まるでしょう。

ビジネスにおけるAI(機械学習)の活用事例

Neuro Diveでは、「AI・機械学習」「デジタルマーケティング」「ビジュアライズ」「業務効率化」といった4領域の組み合わせによって、一人ひとりに合わせたオリジナルの学習コースから描けるキャリアパスを用意しています。

利用者の一人、I.Hさんは、Neuro Diveで学んだAI・機械学習のスキルを活かし、「津波の高さ予測」をテーマに成果物を完成させました。「災害被害を減らしたい」という思いで設定したテーマでしたが、人の流れの予測や渋滞予測に転用すれば大きなビジネス価値を生み出せます。

Neuro Diveが大切にしているのは「身につけた知識や技術をビジネスに転換する」ことです。ビジネス価値の高いAI・機械学習を目指したいという方に、Neuro Diveの利用をおすすめします。

AI・機械学習活用のために必要なスキルを身につけよう

ビジネスシーンにおいて、AI・機械学習の必要性は急速に高まっています。AI・機械学習の道へ進むには、基礎統計や数学、プログラミングの知識、機械学習アルゴリズムなど、さまざまな基礎的スキルを習得しなければなりません。さらに、目指すべき業界の知識やプロフェッショナルスキルも必要となるでしょう。 AIとどのように関わりたいかによって、学習内容は少しずつ異なりますが、共通して学ばなければならないスキルもあります。まずは、「AI・機械学習を使って何をしたいのか」という方向性を定め、効率的に学習することをおすすめします。それぞれ完璧にマスターする必要はなく、実践の中で磨いていくのが合理的な学習方法です。 Neuro Diveでは、「基礎的なスキル」「ビジネススキル」「プロフェッショナルスキル」が身につく学習プログラムを提供しています。DX時代の旗手を目指す方は、Neuro Diveで学んでみてはいかがでしょうか。

先端ITに特化した就労移行支援 Neuro dive とは

Neuro Dive(ニューロダイブ)は、最長2年間でAIや機械学習・データサイエンス・RPAなどの高度な専門スキルを身に着け、就職することをめざせる就労移行支援事業所です。

AIモデルの構築に必要なプログラミング習得や、マーケティングデータの分析方法など、厳選された講座や現役のデータサイエンティストから直接指導で学ぶことができます。

サービスの詳細やご利用方法について知りたい方は、まずはオンラインで開催しているWEB説明会にご参加ください。 説明会の後には、学びたいことや不明な点にお答えする個別面談も開催しています。(希望されるかたのみ)