ADHDの特性により、ミスが多い、集中力が続かないなど仕事の悩みを解決し、活躍できるはたらき方を見つける選択肢として「職業訓練」と「就労移行支援」があります。しかし、二つは目的が違うため、自分に合わない方を選ぶと遠回りになるかもしれません。
この記事では、どちらを選ぶべきか判断できるよう、両者の違いやメリット・デメリットを分かりやすく解説します。

目次
ADHDの特性を活かせる職業訓練・就労移行支援を選びましょう
ADHDの特性による仕事のミスや集中力の欠如、コミュニケーションに悩んでいませんか?その課題を解決する手段の一つが「職業訓練」や「就労移行支援」です。
職業訓練は、ITやパソコンなど専門スキルの習得を目的とする方に向いています。一方、就労移行支援は、障害特性を理解した支援員と自己理解を深め、就職から定着まで一貫したサポートを受けられるのが特徴です。
ADHDの特性を強みに変え、長く安定してはたらくためには、この手厚い伴走支援が大きな力になるでしょう。
ADHD(注意欠如・多動症 )とは
ADHDは「注意欠如・多動症」の略称で、発達障害のひとつです。生まれつきの脳機能の特性により、行動や思考に特徴が現れます。
ADHDの行動には代表的な3つの特性があります。それらを理解することで、仕事の強みとして活かせるでしょう。
ADHDのおもな3つの特性
ADHDのおもな特性は「不注意」「多動性」「衝動性」の3つに大別されます。「不注意」は物事の順序立てが苦手、忘れ物が多いなどで、「多動性」は落ち着きがなく、じっとしているのが困難です。「衝動性」は思いついた行動を抑えられず、おしゃべりが多い傾向があります。
これらの特性から、社会生活で悩みを抱える人も少なくありません。
ADHDの仕事における強み
ADHDの特性は、仕事で大きな強みになり得ます。
豊かな発想力や独自の視点はクリエイティブ職で、高い瞬発力はフットワークの軽さが求められる仕事で活かせます。また、好きなことへの驚異的な集中力は、IT分野や研究職などで高く評価され、大きな成果につながるでしょう。
職業訓練とは
職業訓練は、求職者が就職に役立つスキルを学べる公的制度です。ここでは、メリット・デメリット、利用対象者について解説します。
職業訓練のメリット
職業訓練の大きなメリットは、受講料無料で専門スキルを習得できる点です。ITや介護、事務など多彩なコースから選べ、条件を満たせば月10万円の給付金で生活面の不安も軽減できるでしょう。
ハローワークによる履歴書添削や面接対策といった手厚い就職サポートも受けられ、短期就職を目指せます。
職業訓練のデメリット
職業訓練は集団授業のため、レベルが合わないとスキルが身につかない恐れがあります。また、障害のある人向けのコースは数が少なく、希望しても選考で不合格になることも少なくありません。
あくまでスキル習得が目的であり、個々の障害特性への配慮や、はたらく上での自己理解を深めるサポートは限定的である点もデメリットといえるでしょう。
職業訓練の利用対象者と受講条件
職業訓練は、雇用保険の受給資格によっておもに2つに分かれます。
失業給付を受けている人は「公共職業訓練」、受給できない主婦やフリーターの人などは「求職者支援訓練」が対象です。いずれもハローワークに求職を申し込み、就職への意欲と訓練の必要性が認められることが前提となり、その上で面接や筆記試験の選考に合格すると受講できます。
就労移行支援とは
就労移行支援とは、障害や難病のある方が一般企業へ就職するために、必要なトレーニングや就職活動、就職後のサポートを受けられる福祉サービスです。
以下で、このサービスのメリットやデメリット、対象者について詳しく解説します。
就労移行支援のメリット
就労移行支援では、障害に理解のある支援員のサポートを受け、自分に合った配慮のもとでスキル習得や就職活動ができます。自身の障害特性を客観的に理解し、企業に求める配慮を整理できるため、自身が活躍できる就職を目指すことができるでしょう。
就職後も「職場定着支援」によって長くはたらき続けられるようサポートを受けられます。
就労移行支援のデメリット
就労移行支援のデメリットは、事業所にもよりますが、利用中は原則収入がなく、訓練期間が1年前後と長期にわたる点です。また、前年度の所得によっては利用料が発生する場合もあります。
さらに、事業所ごとにプログラムの質や専門性が大きく異なるため、自分に合わない事業所を選ぶと、十分な効果が得られない可能性もあります。
就労移行支援の利用対象者
就労移行支援は、障害または難病のある方を対象とした制度です。原則として18歳以上65歳未満で、現在は就労していない方が対象となり、一般企業への就職を目指すための支援を受けることができます。
障害者手帳は必須ではなく、医師の診断書などでも申請が可能です。自治体の判断により、休職中の人や在学中の学生なども利用できる場合があります。
職業訓練と就労移行支援の違い
職業訓練と就労移行支援は、どちらも就職に役立つサービスですが、その目的や支援内容は根本的に異なります。
職業訓練は、おもに離職した人を対象に、「新たな専門技術を学ぶ」ことを目的とした公的制度です。プログラミングや簿記など、特定の職種への就職に直結する知識や資格の習得を目指します。
一方、就労移行支援は、障害や難病のある人を対象とした福祉サービスであり、「長く安定してはたらき続けるための土台作りを学ぶ」ことを重視しているのが特徴です。
その上で、コミュニケーションやアンガーマネジメント、論理的思考など、あらゆる仕事で必要となるビジネススキルを身につけていきます。事業所によってはITなどの専門スキルを学べる場合もあるでしょう。
職業訓練と就労移行支援どちらを選ぶべきか?
職業訓練と就労移行支援、それぞれの特徴をふまえ、どちらのサービスを選ぶべきか、具体的な判断基準を4つのポイントに分けて解説します。自身の状況と照らし合わせながら、最適な選択肢を見つけましょう。
ゴールから選ぶ
最終的なゴールによって、選ぶべきサービスは異なります。特定の専門スキルを習得して、いち早く就職することが目的なら「職業訓練」が適しています。一方、就職はもちろん、その後も安定して長くはたらき続けることを目指すなら「就労移行支援」がおすすめです。自己理解を深め、はたらき方の土台作りからサポートしてくれます。
学びたいスキルで選ぶ
学びたい専門スキルで選ぶのもよいでしょう。職業訓練ではWebデザインや簿記などさまざまなコースが用意されています。一方、就労移行支援でも近年はITスキルに特化した事業所が増えており、Webデザインやデータ分析、AI(機械学習)などを学べる事業所もあります。
障害特性への配慮を受けながら専門スキルを学びたい場合は、そうした事業所を探すのがおすすめです。
サポート体制で選ぶ
障害特性への専門的な配慮を求めるなら、就労移行支援が適しているでしょう。職業訓練はスキル習得がおもな目的ですが、就労移行支援では障害への深い知識を持つ支援員が常駐しており、就職後の定着支援も安心材料のひとつです。
利用条件で選ぶ
サービスの利用条件も重要な判断基準です。職業訓練は、おもに離職者などが対象で、ハローワークのあっせんや選考を経て利用します。一方、就労移行支援は障害や難病のある人が対象です。障害者手帳は必須ではなく、医師の診断書などでも申請が可能で、自治体の判断により、休職中の人や在学中の学生なども利用できる場合があります。
先端ITに特化した就労移行支援事業所「Neuro Dive」で特性を強みに!
ADHDの特性は、大きな強みにもなります。職業訓練や就労移行支援など、自分に合ったサポートを活用し、得意を活かせる仕事を見つけましょう。1人で悩まず、まずは専門機関へ相談し、自分らしいキャリアへの一歩を踏み出してください。
「Neuro Dive(ニューロダイブ)」は、発達障害(ASD、ADHDなど)のある人を対象に先端IT分野の専門家を目指す、就労移行支援事業所です。AIやデータサイエンスといった高度な専門スキルを学べるのが特徴で、発達障害の特性を「強み」として活かすことを目的としています。
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