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2025.09.09

コラム

 

ASDと他責思考の関係とは?自身でできる工夫と対処法を紹介

ASD(自閉スペクトラム症)と他責思考に直接的な関係はありませんが、ASDのある人は他責思考になりやすいと考えられています。本記事では、ASDの特性や他責思考との関係、対処法を解説します。悩んでいる方は参考にしてください。

ASDと他責思考の関係とは?自身でできる工夫と対処法を紹介

ASDの特性を理解し対策を行いましょう

ASDのある人が、周囲の人とよりよい人間関係を構築するために、自身の行動や発言を振り返ったり、「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」により対人関係を学んだりするなどの対策が有効です。ASDのある人は他責思考になりやすい傾向にありますが、これはASDのある人が持つ物事を客観的にみることが苦手だったり強いストレスや不安に弱いなどの特性によるものと考えられています。

ASD(自閉スペクトラム症)とは

ASD(自閉スペクトラム症)とは、発達障害の1つです。 人とのかかわりが苦手、興味に偏りがあるといった特性に加えて、生活に支障をきたしているなどの条件を満たした場合にASDと診断されます。

症状は幼少期から認められ、最近の研究では子どもの20〜50人に1人がASDと診断されているともいわれています。ASDの特性が色濃く出るタイプのほか、ADHD(注意欠如・多動症)、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)、発達性協調運動症といったほかの神経発達症群のある人もいます。

また、大人のASDの特徴として、周囲の人とのかかわりを保ちにくい、ことばのニュアンスや比喩が分かりにくい、こだわりが強いなどが挙げられます。

ASDの主な特徴・特性

ASDの主な特徴や特性は、コミュニケーション、行動や興味、感覚の3つに分けられます。

コミュニケーションに関係する特徴や特性

  • 視線が合わない
  • 模倣が少ない
  • 手の表情を読み取ることが苦手
  • たとえ話や冗談が通じない
  • 相手の表情から気持ちを読み取ることが苦手

行動や興味に関係する特徴や特性

  • 名前を呼んでも振り向かない
  • 人見知りをしない
  • オウム返しが多い

感覚に関係する特徴や特性

  • 偏食である
  • こだわりが強い
  • 感覚が過敏あるいは鈍麻である
  • 細かな作業が苦手

これらの特性や特徴がASDのある人に必ず出るわけではありません。ASDに共通する特性はありますが、程度や困難の現れ方は、1人ひとりで異なります。

他責思考とは

他責思考とは何か、他責思考になりやすい人の特徴と合わせて解説します。

他責思考とは

他責思考とは、失敗や課題が生じた原因が他人や環境にあると判断する考え方です。自身の行動や状況に対して、他人や環境を責める傾向にあり、物事が思うとおりに運ばない原因が自分にあるとは考えません。そのため、他責思考を持つ人は、当事者意識が低く、責任感が希薄な傾向にあります。

他責思考と対極にある考え方が自責思考です。自責思考は、問題や失敗の原因がすべて自分にあると考えます。

ASDのある方に限らず誰でも陥る可能性がある

他責思考になりやすい人には、以下のような特徴があります。

  • 自身の行動や発言が消極的で人任せである
  • 責任意識が低い
  • 叱責や指摘から逃れたい心理がある

他責思考は、必ずしもASDが原因となっているわけではありません。他責思考は個人の性格と片づけられるものではなく、心理学的、社会学的な要因が複雑に絡み合い生じるものであるためです。失敗や拒絶など自尊心が傷ついた過去の経験により、外部への責任転嫁が起こることもあります。

ASDと他責思考の関係

ASDと他責思考のあいだには、どのような関係性があるのでしょうか。ASDのある人が他責思考になりやすいことも踏まえて、関係性を解説します。

責任感がないわけではない

ASDのある人は、状況を全体的に把握したり、自分の行動や感情を客観的に振り返ることが苦手な傾向があります。これは、脳の情報処理の特性によるものであり、決して「責任感がない」わけではありません。

その結果として、トラブルが起きた際に、自分の行動が原因であることに気づきにくく、周囲の環境や他者の言動に原因を求めてしまうことがあります。これは周りからみると「他責思考」と見なされることがありますが、ASDのある人にとっては、自分の内面と外部の出来事を結びつける認知が難しいがゆえに起こってしまう反応です。

ストレスや不安が強い場面で出やすい

他責思考は、強いストレスや不安に直面したときに、自己防衛的に反射的に現れることがあります。ASDのある人は、感情の調整や状況の把握が苦手な傾向があり、予期せぬ出来事や対人関係の変化に対して強い不安を感じやすいとされています。問題が起きた際に「自分が悪い」と認識するよりも、「環境や他者のせい」と捉えることで、混乱や不安から自分を守ろうとする反応が起こりやすくなります。これは、「意図的な責任回避」ではなく、認知の特性による自然な反応である場合が多いです。

ASDのある人が不安を感じやすい要因として、以下のような特性が挙げられます。

  • 予定外の出来事や環境の変化に強いストレスを感じやすい
  • 思い込みやこだわりが強い
  • 「こうでなければならない」という認知の枠組みが強く、柔軟な対応が難しい
  • 他人の言動や表情に過剰に反応し、誤解や不安を抱きやすい
  • 過去の失敗を繰り返し思い出し、自己評価が下がりやすい

ASDのある人が自身で取り組める工夫

ASDのある人が他責思考に陥らず、より良い対人関係や職場適応を目指すためには、自分の特性を理解し、感情や行動を整理する習慣を身につけることが重要です。以下に、実態に即した取り組みを紹介します。

自分の特性・症状を理解する

自身の特性や症状を正しく理解することが他責思考を改善する第一歩です。ASDのある人は、他人の行動の意味を考えたり予測したりすることが苦手です。また、他者の意図や感情を読み取ることも苦手な傾向にあります。そのため、意図せず失言や誤解を招くこともあります。悪気は無くても失言をして、周りの雰囲気を悪くしてしまう場合もあるでしょう。まずは、自分の認知や行動の傾向を把握し、「なぜそうなるのか」を理解することが、他責的な思考を防ぐ第一歩です。また、話し方や振る舞いなどは、自身の特性や症状の理解と会話のトレーニングにより、改善あるいは克服できる場合もあります。

自分の気持ちや考えを整理する

ASDのある人のなかには、他人とのコミュニケーションを負担に感じ、人間関係の構築に困難さを覚える人もいます。相手の気持ちはもちろん、自分のことや感情にも気づきにくい傾向があります。自分の気持ちや考えに気づき、自分を理解することも大切です。

ノートや手帳、スマートフォンのメモなどに書き出して、自分の感情を整理してみましょう。感情の認識が難しいASDのある人にとって、自分の気持ちを言語化することは大きな助けになります。ノートやスマートフォンのメモに「どんな感情が、どんな出来事で生じたか」を記録することで、自己理解が深まり、冷静な判断がしやすくなります。感情を書き出す際は、書き出す感情の種類を決め、その感情が沸いてくるできごとをできる限り書き出すことがポイントです。

「相手の立場」を考える練習をする

ASDのある人のなかには、相手の意図や考えがわからないことに対し、悩んでいる人もいるでしょう。その際相手の立場を考える練習として、「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」がおすすめです。対人関係で必要となる挨拶や会話の仕方のほか、相手の表情の読み取りなどを実践形式で練習できます。

また、発言する前に一呼吸置き、「この発言で相手はどう思うか」「別の言い方はないか」と考える癖をつけましょう。

困りごとを事前に予防する

スケジュールや手順を可視化することも有効です。ASDのある人は、先を見通すことが苦手です。「いつ」「どこで」「なにを」「どのように」するのか見通しが立たないと不安を感じる傾向にあります。変化は避けられないものであると理解し、事前に対策を立てるようにしましょう。

専門機関のサポートを受ける

困ったときに相談できる場所を確保しておくことはとても大切です。信頼できる人や専門機関に相談することで、客観的な視点からのアドバイスを得られ、自己理解や行動改善につながります。困ったときは1人で抱え込まず、発達障害専門のカウンセラーや医療機関、就労移行支援事業所、地域の相談窓口や支援センターなどに相談することをおすすめします。

先端ITに特化した就労移行支援事業所「Neuro Dive」で特性を強みに!

ASD(自閉スペクトラム症)のある人は、物事を客観的に捉えたり、相手の立場を想像したりすることが苦手な傾向があります。そのため、強いストレスや不安を感じた場面で、他責的な思考が表れやすいことがあります。

しかし、これは性格の問題ではなく、認知や感情処理の特性によるものです。自分の特性を理解し、気持ちを整理する習慣を持つことや、相手の立場を考える練習、必要に応じて支援を受けることによって、他責思考の改善につながります。 就労移行支援 Neuro Dive(ニューロダイブ)は、AIを使ったデータ分析やRPAといった「先端IT」領域を学び就職を目指せる機関です。発達障害(ASD、ADHDなど)の特性を活かし、AIを使ったデータ分析やRPAなどの先端ITスペシャリストを目指したい人は、説明会の参加や資料をご覧ください。