
ひきこもり状態にある方が「仕事に就きたい」と思っても、対人関係の不安や経歴のブランクなどから、一歩を踏み出しにくいケースは多いです。しかし、適切なサポートを受けながら就労準備を整えることで、自分に合った仕事を探すことができます。本記事では、ひきこもり状態にある方に向いている仕事と、社会復帰までのステップについて解説します。
目次
ひきこもり状態の方に向いている仕事環境の特徴

ひきこもり状態だった方が仕事を始めるには、次のような特徴のある仕事が比較的向いていると考えられます。
一人で集中して取り組みやすい仕事
周囲に合わせることや急ぐことが求められる仕事は、ストレスを感じやすいです。そのため、厳しい納期やノルマが設定されておらず、自分のペースで業務を進めやすい仕事は、比較的はたらきやすいでしょう。一人で集中して取り組める場面が多い仕事であれば、対人関係のストレスも軽減しやすいので理想的です。
マニュアルやルールが明確な仕事
仕事に慣れていない状態では、「何をすれば良いか分からない」「自分で判断しないといけない」といった状況にストレスを感じやすくなります。マニュアルが整備されていて、作業手順・内容が分かりやすい仕事であれば、はたらくハードルが下がるでしょう。
スキルが重視される専門職
総合職や営業職は対人業務が多いため、不安を感じる方もいるでしょう。一方で、スキルや知識が重視される仕事は、ブランクがある方もチャレンジしやすいと考えられます。
特に、IT業界は近年の需要拡大から、多様なバックグラウンドのある人材を受け入れる企業が増えつつあるため、ひきこもり状態だった方もほかの業種と比べるとキャリア形成を進めやすいです。
ひきこもり状態の方がはたらきやすい仕事

次のような仕事は、コミュニケーションを求められる機会が比較的少なく、スキルを身に付けながらキャリア形成につなげやすいため、ひきこもり状態の方に向いていると考えられます。
| 仕事 | 未経験 | 在宅可能性 | スキル習得 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| データ入力・事務補助 | ◎ | ○ | △ | コツコツ作業 |
| 軽作業・倉庫作業 | ◎ | × | △ | 身体を動かす |
| 清掃スタッフ | ◎ | × | △ | 身体を動かす |
| Webライター・編集者 | △ | ◎ | ○ | 文章作成 |
| 動画編集者 | △ | ◎ | ○ | クリエイティブ |
| ITエンジニア・プログラマ | △ | ○ | ◎ | キャリア形成 |
| データ分析業務 | △ | ○ | ◎ | 専門性が高い |
| RPAエンジニア | △ | ○ | ◎ | 業務改善 |
データ入力・事務補助
データ入力や事務補助は、パソコンを使った次のような業務が中心となる仕事です。
- データ入力
- 書類作成
- ファイル整理
- メール対応
- 情報管理
基本的なパソコン操作ができれば応募できる求人も多く、未経験から挑戦しやすい仕事です。
正確性や集中力が求められるため、コツコツと作業を進めることが得意な方に向いています。
軽作業・倉庫作業
次のような仕事内容がメインの軽作業・倉庫作業も選択肢のひとつです。
- 商品の仕分け
- ピッキング
- 梱包作業
- 検品作業
- 在庫管理
作業手順が明確に決まっていて、一人で作業する時間が多いことが特徴です。ある程度の体力は必要になりますが、デスクワークよりも体を動かしながらはたらきたい方に向いています。
清掃スタッフ
オフィスビルや商業施設、ホテルなどで清掃業務を担当する清掃スタッフは、次のような比較的シンプルな業務内容が多いため、ひきこもり状態にある方が挑戦しやすい仕事です。
- 掃除機がけ
- ゴミ回収
- トイレ清掃
- 共用部分の清掃
ひとりで黙々とタスクをこなす時間が多く、対人業務が求められることも少ないです。未経験歓迎の求人も多いため、社会復帰の第一歩として取り組みやすいでしょう。
Webライター・編集者
文章を書くことが好きな方は、Webライターも選択肢のひとつになります。企業のWebメディアやコラムなどの記事を執筆する仕事で、主な仕事内容は次のとおりです。
- 情報収集
- 構成作成
- 記事執筆
- 原稿修正
在宅ではたらける案件も多く、自分のペースで仕事を進めやすいです。ただし、最初は収入が安定しにくいうえに、SEOスキルや執筆分野に関する知識が求められるため、継続的な学習が欠かせません。
動画編集者
動画編集者は企業のPRやSNS向け動画などを編集する仕事で、主な作業内容は次のとおりです。
- 動画のカット編集
- テロップ挿入
- BGMや効果音の追加
- 映像の色調補正
- サムネイル制作
パソコンを使って一人で取り組む作業が多いため、コミュニケーションに不安がある方でも取り組みやすいでしょう。ただし、継続的に案件を獲得するためには、マーケティングやSNSに関する知識も必要になります。
ITエンジニア・プログラマ
将来のキャリア形成を重視するなら、ITエンジニアやプログラマも有力な選択肢です。IT業界では人材不足が続いており、未経験者の採用や研修制度を拡充する企業も増えています。
- システム開発
- アプリ開発
- Webサイト制作
- システム保守運用
論理的思考力や集中力が求められる業務が多いため、ひとつのことを掘り下げるのが得意な方に向いています。
データ分析業務
AIやデータサイエンスなどの需要の高まりから、次のような仕事がメインのデータエンジニアも注目されています。
- データ集計・可視化
- レポート作成
- 業務改善支援
大量のデータを取り扱うことが多いため、コツコツ作業を続けられる方や、問題解決能力が高い方に適性があると考えられます。
RPAエンジニア
RPAエンジニアは、ソフトウェアロボットを活用して企業の定型業務を自動化する仕事で、人手不足の解消や生産性向上を目的として需要が拡大しています。
- 業務内容の分析
- 自動化シナリオの作成
- RPAツールの設定
- テスト・運用保守
- 業務改善提案
上記のような業務は、プログラミング経験が必須ではない案件もあるため、未経験でも取り組みやすいIT職種です。物事を体系的に考えたり、効率化したりすることが得意な方に、RPAエンジニアは向いています。
ひきこもり状態の方が仕事に不安を感じる主な理由
ひきこもり状態から社会復帰を目指す方は、はたらきたい気持ちはあるものの、次のような不安や悩みから一歩を踏み出すことが難しい場合があります。
ブランクが長いので履歴書に自信がない
ひきこもり状態だった方が最も不安を感じやすいのが、職歴や経歴のブランクです。しかし、近年では、はたらき方や生き方の多様化が進んでいるため、ブランクがあるだけで不採用になるわけではありません。採用担当者が重視するのは、「ブランクを経て何を学び、今後どのようにはたらきたいと考えているか」です。
仕事が続かなかった経験がある
過去にアルバイトや就職を経験したものの、長続きしなかったという経験がある方は、次のような不安を抱えがちです。
- また同じことを繰り返すのではないか
- 自分は仕事に向いていないのではないか
- はたらき続ける能力がないのではないか
しかし、すべての仕事に適性がないとは限らず、仕事内容や職場環境とのミスマッチも考えられます。求職活動に不安のある方は、専門の支援サービスに相談することをおすすめします。プロのアドバイスを受けることで、「どのような環境ならはたらきやすいか」「どのような仕事が合っているのか」などが分かります。
人間関係やコミュニケーションへの不安がある
職場では人間関係も生じるため、次のような不安もあるでしょう。
- 上司や同僚とうまく話せるだろうか
- ミスしたときに責められないだろうか
- 職場になじめなかったらどうしよう
- 周囲から変な目で見られないだろうか
過去につらい経験がある方は、新しい環境への警戒心が強くなりがちです。しかし、新しい職場でも同じことが繰り返されるわけではありません。あなたに合った環境を選ぶことで、対人関係のリスクを減らし、安心してはたらきやすくなるでしょう。
体力低下や生活リズムの乱れが心配
ひきこもり期間が長くなると、生活リズムの乱れや体力の低下が生じやすくなります。仕事を始めると、決まった時間に起床・通勤する必要があるため、「毎日出勤できるだろうか」「体力がもつだろうか」と不安になりがちです。
その場合、いきなりフルタイム勤務を目指す必要はありません。体力や生活リズムを少しずつ改善し、段階的に就労準備を整えていくという意識が重要です。
ひきこもりから仕事を始めるためのステップ

「早く仕事を始めなければ」という気持ちが強すぎると、無理をして仕事が長続きしなくなってしまいます。次のようなステップで、小さな成功体験を積み重ねながら、段階的に社会復帰を進めていきましょう。
- ステップ1:生活リズムを整える
- ステップ2:外出や人との接点を少しずつ増やす
- ステップ3:得意なこと・苦手なことなど自己理解を深める
- ステップ4:就職に向けて知識やスキルを身に付ける
- ステップ5:適性や特性に合った仕事を探す
ステップ1:生活リズムを整える
まず取り組みたいのが生活リズムの改善です。昼夜逆転や不規則な生活が習慣化している場合、次のポイントを特に意識しましょう。
- 起きる時間を少しずつ早くする
- 起床後に朝日を浴びる
- 決まった時間に食事をとる
- 夜更かしを減らしていく
規則正しい生活は体調管理だけでなく、仕事を続けるための土台づくりにもつながります。しかし、最初から完璧を目指す必要はなく、まずは朝に起きる時間を少し早くできるだけでも大きな前進です。
ステップ2:外出や人との接点を少しずつ増やす
いきなり毎日通勤する生活を始めるのは大きな負担になるため、次のように「社会との接点」を少しずつ増やしていきましょう。
- 近所を散歩する
- コンビニやスーパーに行く
- 図書館を利用する
- 地域のイベントに参加する
- 支援機関へ相談する
社会復帰というと大きな壁のように感じるかもしれませんが、実際には日常生活の延長線上にあるものです。外出や人との関わりに慣れていくことで、仕事への不安も徐々に軽減されていきます。
ステップ3:得意なこと・苦手なことなど自己理解を深める
自分自身について理解を深めることも重要です。ひきこもり期間が長いと、「自分には何もできない」と考えてしまうようになりますが、実際には適性や興味のある分野が存在します。
- どんなことに興味があるか
- 過去に楽しいと感じた経験は何か
- 苦手な環境やストレス要因は何か
上記のような観点から自己分析を行うことで、自分にどんな特性や適性があるか分かり、その自己理解は仕事を選ぶ際にも役立ちます。
ステップ4:就職に向けて知識やスキルを身に付ける
仕事の経歴やスキルに不安がある場合は、まずはスキル習得から始めてみましょう。次のような知識やスキルを身に付けることで、自信を持って就職活動に臨みやすくなります。
- パソコンスキル
- ITスキル
- Web制作
- プログラミング
- データ分析
- 資格取得
特にIT系のスキルはさまざまな企業で必要とされているため、習得することで仕事の選択肢が広がります。
ステップ5:適性や特性に合った仕事を探す
最初から理想の職場で長期就労を目指すのはハードルが高いため、次のようにさまざまな選択肢を検討することが大切です。
- アルバイト
- 契約社員
- 障害者雇用
ただし、就職活動に対する不安要素が多い場合は、就労移行支援事業所への通所を検討してみてください。ひきこもり状態の方の支援実績が豊富な支援員のサポートを受けながら、今回ご紹介した5つのステップを効果的に進めることができます。
ひきこもり状態にある方がIT業界の仕事を目指すという選択肢

ひきこもり状態から仕事に就くことを目指す際、有力な選択肢のひとつがIT系の職業です。その理由について、次のポイントから解説します。
IT業界は専門スキル重視で活躍しやすい
一般的な仕事では、学歴・経歴・職歴が重視されると言われますが、IT業界では次のような専門スキルが評価の対象になる傾向があります。
- プログラミングができる
- データ分析ができる
- システム開発の知識がある
- AIや機械学習のスキルがある
つまり、これらのスキルを習得することで、ひきこもり状態だった方も仕事に就くチャンスが広がるでしょう。
対人関係が苦手な方でも比較的はたらきやすい
IT系の仕事はひとりでタスクに取り組むことが多い傾向があるため、対人関係が苦手な方にも向いていると考えられます。さらに、IT分野は特定の特性がある方だけに向いているわけではなく、次のようにさまざまな強みを活かせる職種です。
- コツコツ学習することが好き
- ひとつのことを深く掘り下げるのが得意
- 興味のある分野には集中力が続く
- 論理的に考えることが好き
職種によってはチームでのコミュニケーションが重要な場合はありますが、総合職・営業職・飲食業などの職種と比べると、対人関係のストレスを減らしながらはたらきやすい仕事です。
データ分析やAIなど成長分野の需要が高まっている
近年では、多くの企業がIT人材を求めているため、次のような専門スキルを身に付ければ、将来的なキャリアアップにつながるでしょう。
- AI(人工知能)
- データ分析(データサイエンス)
- DX(デジタルトランスフォーメーション)
先端IT特化型の就労移行支援事業所「Neuro Dive(ニューロダイブ)」では、上記の専門スキルの習得に加えて、ひきこもり状態だった方が仕事に就くために必要な支援も受けられます。
- 就職活動のサポート
- 履歴書作成支援
- 面接対策
- 就職後の定着支援
就労準備から就職後の定着まで一貫したサポートにより、社会復帰を目指す方にとって心強い選択肢となるはずです。
ひきこもり状態にある方が就職を目指すなら「Neuro Dive」へ!

適切な支援を受けながら就労準備を進めれば、ひきこもり状態が長く続いている方も仕事に就けるようになります。まずは、生活習慣の改善や社会との接点の確保、自己理解などを少しずつ進めていきましょう。それがあなたに合った仕事を探すための土台になります。
「自分の特性を活かせる仕事が分からない」「ITやAIに興味がある」という方は、先端IT特化型の就労移行支援事業所「Neuro Dive(ニューロダイブ)」を検討してみてください。はたらくための準備を整えながら、AI・機械学習・データ分析などの専門スキルを効果的に学べます。
上智大学卒業後、損害保険会社で法人・官公庁営業を経て、2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員