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2026.09.02

コラム

 

発達障害とひきこもりの関係とは?ADHD・ASDとの関連性や社会復帰への支援を解説

ひきこもり状態で悩みを抱える人物のイメージ

現在ひきこもりの状態にあり、「もしかしたら発達障害かもしれない」「ADHDやASDの特性が関係しているのではないか」とお悩みではないでしょうか。

発達障害のある方は、学校・職場・人間関係などで強いストレスを抱えやすく、つらい経験の積み重ねで社会参加が難しくなるケースがあります。この場合、ひきこもりは努力不足や甘えではなく、適切な支援や環境調整を受けながら、少しずつ改善を目指せる場合があります。

本記事では、発達障害とひきこもりの関係や、社会復帰を目指すADHD・ASDの方が利用できる支援サービスについて詳しく解説します。

発達障害とひきこもりの関係について

発達障害に関するイメージ

発達障害とは、生まれつきの脳機能の特性によって、物事の捉え方や行動に特徴が現れる状態です。

代表的なものとして、「ADHD(注意欠如多動症)」や「ASD(自閉スペクトラム症)」があります。

ひきこもりの大半の事例には多彩な精神障害が関与しており、なかでも発達障害の関与はけっして稀ではない とされています。

まずは、発達障害とひきこもりの関係について、次のポイントから見ていきましょう。

発達障害の特性がひきこもりにつながりやすい理由

発達障害のある方は、一般的に次のような特性があると考えられています。

ADHD 注意力や集中力が続かない
言動や思考が落ち着かない
感情や言動のコントロールが難しい
ASD 対人関係やコミュニケーションが苦手
興味の偏りや強いこだわりがある
感覚過敏や感覚鈍麻がみられることがある

その結果、生活や仕事のさまざまな場面で、次のような課題に直面しやすくなるのです。


  • 周囲とのコミュニケーションがうまくいかない
  • 周囲から特性を理解されず誤解や偏見を受ける
  • ケアレスミスや失敗の繰り返しで自信を失ってしまう
  • 集団生活になじめずに孤独を感じやすい
  • 感覚過敏で社会生活そのものが大きな負担になる

発達障害の種類や個人差によって特性は大きく異なりますが、つらい経験が積み重なることで、社会参加を避けるようになりやすいという共通点があります。

「二次障害」の影響でひきこもりになるケースもある

ひきこもりは「やる気の問題」や「甘え」などと誤解されることがありますが、実際には「二次障害」による影響も指摘されています。二次障害とは、発達障害の特性による困難な経験によるストレスの蓄積で、次のような精神疾患を発症することです。


うつ病 気分や意欲が著しく低下し、日常的な動作も難しくなる
双極性障害 気分が落ち込む「うつ状態」と高揚する「躁状態」が繰り返される
適応障害 環境の変化に強いストレスを感じ、生活に支障をきたす
不安障害 人前に出ることや失敗への強い不安を感じる
強迫性障害 頭の中にある「強迫観念」とそれを打ち消す「強迫行為」が止まらない

こうした精神的な変化が行動の変化にもつながり、その結果のひとつが「ひきこもり」だと考えられています。

発達障害(ADHD・ASD)のある方がひきこもり状態になる原因・きっかけ

集団の中で孤立感を抱えやすい状況のイメージ

ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)といった発達障害のある方は、次のような原因でひきこもり状態になるケースが多いと考えられています。



対人関係のストレスを抱えやすい

発達障害のある方は、次のような理由から対人関係でストレスを抱えやすい傾向があります。

ADHD 大切な約束を忘れてしまう
衝動的な言動をしてしまう
ASD 相手の気持ちを読み取ることが苦手
暗黙のルールや曖昧な表現を理解することが苦手

その結果、本人には悪気のない言動が周囲の誤解を招いてしまい、人間関係に支障が生じることがあります。学生時代から発達障害の特性が出ていた場合、周囲から理解が得られないことによる孤立が、不登校・ひきこもりの状態につながることがあります。必要な支援を受けられないまま社会人になると、職場でも同様の悩みを抱えやすくなるのです。

環境変化に対応することが難しい

進学や就職・転職など、生活環境が変化するタイミングは大きなストレス要因となりますが、発達障害のある方は次のような傾向から影響を受けやすいといわれています。

ADHD 新しい環境特有のスケジュールやタスク管理を負担に感じやすい
ASD 以前とは異なるルールや人間関係への適応がストレスになりやすい

社会人になると、学生時代と比べてコミュニケーションや社会性が複雑になりますが、その変化に対応しきれない場合、出勤や外出が難しくなるケースがあります。

失敗体験の積み重ねで自己肯定感が低下しやすい

発達障害のある方は、生活や仕事で次のような失敗を繰り返しやすい傾向があります。

ADHD 忘れ物や遅刻、ケアレスミスが多くなりやすい
ASD 相手の意図を読み違えたり、柔軟な対応が難しかったりする

こうした経験が積み重なると、「何をやってもうまくいかない」「また失敗するに違いない」と悩むことが増え、自己肯定感が低下してしまいます。その結果、うつ病や気分障害といった「二次障害」の発症につながるのです。


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発達障害によるひきこもり状態から社会復帰への道のり

発達障害によるひきこもり状態から回復するには、いきなり社会復帰を目指すのではなく、次のステップを意識して「小さな成功体験」を積み重ねることが大切です。



ステップ1:医師の診断やカウンセリングを受ける

これまで発達障害の診断を受けていない方も、次のいずれかに該当する場合は発達障害である可能性が考えられるため、専門家への相談を検討してみると良いでしょう。


  • 昔から人間関係で極端につまずきやすい
  • 忘れ物やケアレスミスが非常に多い
  • イレギュラーや環境変化に強いストレスを感じる

精神科・心療内科・発達障害外来(発達外来)といった専門機関に相談することで、次のようなことが分かり、課題や悩みの解消につながるかもしれません。


  • 自分が今どんな状態にあるか
  • 疾患や障害の具体的な内容
  • 必要な治療や専門的なサポート
  • 今後どのように社会復帰を目指すか

ステップ2:少しずつ生活習慣を改善していく

規則正しい生活習慣を取り戻すことは、社会復帰のために重要です。しかし、ひきこもりの状態が続いている場合、生活リズムの乱れをいきなり戻すのは負担が大きいため、次のようなことから始めてみましょう。


  • 少しずつ夜更かしを減らす
  • 朝にカーテンを開けて日光を浴びる
  • 同じ時間帯に食事を取る

ステップ3:対人コミュニケーションを練習する

ひきこもり状態にある方は、次のように対人コミュニケーションに少しずつ慣れていくと良いといわれています。


  • 家族と一言だけでも話してみる
  • 主治医やカウンセラーと定期的に話す
  • 少人数のグループワークに参加してみる

しかし、雑談力や空気を読む能力を無理に高めようとするのではなく、就労時にも役立つ次のようなポイントを意識してみると良いでしょう。


  • 困ったときに質問する
  • 必要なことを簡潔に伝える
  • 発言前に少し考える時間を取る

障害や疾患のある方が社会復帰を目指すためのサポートが受けられる「精神科デイケア」や、仲間同士で助け合える「ピアサポート」なども、コミュニケーションを練習するための選択肢になります。

ステップ4:自身の特性や適性への理解を深める

発達障害の影響でひきこもり状態になった方が社会復帰を目指す際は、自身の「得意」「不得意」の偏りを把握することが重要です。例えば、ADHDやASDのある方の場合は、次のようなパターンが考えられます。

ADHD 単純作業を長時間続けるのは苦痛だが、興味のある分野には長く集中できる
ASD 対人関係は苦手だが、一人で作業できる仕事・環境であれば成果を出しやすい

次のポイントから整理してみると、自己理解を深めやすくなるでしょう。


  • どんな場面で強いストレスを感じるか
  • どのようなタスクなら取り組みやすいか
  • 集中しやすい環境・疲れやすい環境の違い
  • 人間関係で特につまずきやすいポイント

無理に苦手を克服するのではなく、苦手な部分をカバーしながら長所を伸ばせる環境を探すほうが、社会復帰につながりやすくなります。

ステップ5:就労準備を整えて社会復帰につなげる

生活習慣の改善や自己理解がある程度進んできた段階で、就労準備を整えることを考えてみましょう。ただし、いきなりフルタイム就労を目指すのではなく、次のような段階を踏んで社会参加を増やしていくのが効果的です。


  1. 決まった時間に外出する練習をする
  2. 支援機関へ通う頻度を増やしていく
  3. パソコンやビジネスマナーなどスキルを学ぶ
  4. 職場実習や軽作業を通じて就労感覚を取り戻す
  5. 求人を探して履歴書作成や面接練習を行う

これらを独力で行うのはハードルが高い部分もありますが、各種支援サービスを活用することで、必要なサポートを受けながら自分のペースで社会復帰を目指しやすくなります。

発達障害によるひきこもりから社会復帰を目指したい方が利用できる支援サービス

専門家へ相談している様子

発達障害によるひきこもりから社会復帰を目指すには、一人ですべてを解決しようとするのではなく、次のような支援サービスを活用することが重要です。

発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは、発達障害のある方やその家族の相談先として、各都道府県に設置されている公的機関です。医療機関・福祉サービス・就労支援機関と連携しているため、発達障害に関する悩みや困りごとについてアドバイスが得られます。「何から始めれば良いか分からない」という方は、最初の相談先として利用しやすいでしょう。

地域若者サポートステーション

地域若者サポートステーション(サポステ)は、就労に関する悩みがある方のための就労支援機関です。発達障害や精神疾患のある方も対象で、キャリア相談・コミュニケーション講座・就職活動のサポートなどが受けられます。生活リズムの改善や職業体験など、就労準備を整えることができるので、段階的に社会復帰を目指せます。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、一般企業への就職を目指す障害のある方が、次のようなサポートを得られる支援機関です。

  • 生活リズムの改善
  • コミュニケーション能力の向上
  • 就労に必要なスキルの習得
  • 転職・就職活動のサポート
  • 転職・就職後の職場定着支援

ひきこもりから社会復帰を目指すためのサポートを一貫して受けられるので、就労に関するさまざまな不安がある方に適しています。ひきこもり状態にある方が利用できる就労移行支援については、次の記事もご参照ください。

関連記事

ひきこもり状態の方が利用できる就労移行支援とは|支援内容・メリット・社会復帰の進め方

発達障害によるひきこもりから社会復帰を目指したい方は「Neuro Dive」にご相談ください

就労移行支援事業所で相談を受ける様子

ひきこもり状態が長く続いていても、適切な支援を受けながら就労準備を進めることで、社会復帰を目指すことができます。発達障害のある方が仕事を選ぶ際は、自分の特性や強みを活かせる職種を選ぶことが重要です。

その際は「IT分野」も検討してみてください。発達障害の特性として、「興味のある分野への集中力」「論理的思考力」「発想力」などが挙げられますが、IT分野の仕事ではこうした特性を活かしやすいと考えられています。対面コミュニケーションが比較的少なく、自分のペースで作業しやすいことも魅力です。

「特性を活かせる仕事が分からない」「ITやAIに興味がある」という方は、ITに特化した就労移行支援事業所「Neuro Dive(ニューロダイブ)」を検討してみてください。AI・機械学習・データ分析・RPAなどの専門スキルを学びながら、就職活動や職場定着までサポートを受けられます。無料体験も実施していますので、「自分にもできそうか知りたい」という方はお気軽にご参加ください。

この記事の監修者

パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネージャー
戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)

上智大学卒業後、損害保険会社で法人・官公庁営業を経て、2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。

【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員